不動産の時効取得に必須の占有とは?

不動産などの時効取得において重要になるのが占有です。相続などでも占有権の相続などで重要になる概念です。そこで、まずはそもそも占有というのがどのような状態をいうのかということを理解しておく必要があります。

「占有」については、民法で以下のように規定されています。

民法 第180条
占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。

「所持」という言葉がありますが、これは日常的には「持っている」といった程度で使われる言葉ですが、法的にはもう少し踏み込んだ意味を持ちます。この占有権を発生されるのための「所持」とは、対象となるモノを支配できている状態をいいます。

「占有」とは物を支配できている状態をいいます。もう少しかみ砕くと「客観的にみて、排他的に物を支配している状態が継続していること」を占有といいます。

占有権は一つの権利ですが、上記のように事実上の「状態」を表す権利であり、所有権などのように登記されることはありません。

自主占有と他主占有

「所持」のほかにもう一つ重要なことが「自己のためにする意思をもって」行うことです。自分のために行う占有を「自主占有」といい、他人のために行う占有を「他主占有」といいます。

契約上借りていることになっていても自分は所有のつもりだったというような個別的な事情を考慮すると法的な安定もあったものではありません。そのため、時効取得の根本的な考え方である「自主占有」については外形的に判断するということになっています。

自主占有開始の例 売買、贈与、交換
他主占有開始の例 賃貸借、地上権、質権、他社の財産管理契約、親権者が未成年者のモノを占有

自主占有でないと占有権は発生しないため、一定期間の占有の継続をもとに権利を発生させる時効取得自主占有でないと発生しないということになります。

自主占有は外形的に判断するので、登記上他人名義の土地であることを知っているなど、所有権は他人に帰属しているということを認識していたとしても、自主占有は成立します。

不動産の所持とは?

占有権が問題になるのは、多くのケースでは時効取得を証明するときです。さらに時効取得については不動産について争われるケースが多いです。そのため、不動産について「所持」している状態がどのような状態かということを把握しておくことが不動産の時効取得を主張するときに重要です。

所持については、具体的にそこに居住しているということのほかにも、他者に貸し出している場合も所持しているといえます。ただし、他人と共同して使っている私道のように、排他性がない場合は所持とは言えないため、時効取得も成立しえないということになります。

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