占有権の相続

被相続人がとある不動産その他の財産を占有している場合に、その占有権が相続されるのかという問題があります。

結論から言えば、占有権は相続されます。相続が発生すると被相続人が持つ権利や財産は包括的に相続人に承継されることになります。占有権も被相続人が持つ権利の一つなので、その存在を相続人が知っているかどうかにかかわらず、当然相続されることになります。

この占有権の相続が問題になるのは、特に時効取得のケースです。不動産の時効取得では、一定期間の占有がその条件となっています。そのため、被相続人の占有権を相続することで、相続人としては新たに自己が占有を開始しなくても被相続人の占有期間との通算によって時効取得を主張することができます。

民法 第187条

  1. 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
現に占有物を所持している相続人以外にも占有権は承継される

相続が発生したことによって占有権を相続することになった場合、「占有権を相続する」ということは占有しているモノを被相続人から相続人に引き渡すということではなく、相続という事実そのものの効果です。例えばとある不動産を占有していた人が亡くなって相続が発生した場合、その被相続人と同居していた相続人だけでなく、遠隔地に住んでいる相続人であっても占有権を相続するということになります。

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