遺言執行者の選任のメリット

特に自筆証書遺言に多いケースで、遺産の分配についてはしっかりと記載されているけれど、遺言執行者の記載がないというケースがあります。

遺言執行者の記載がなくても、遺産の分配を受けるのが相続人であれば相続手続きに関してそれほど不具合は起こりません。
遺言執行者の記載がない遺言書でも相続人に相続させる旨の遺言であれば相続登記は単独申請できますし、銀行口座の解約も行うことができます。

しかし、相続人ではない者が遺言で遺産を受け取る場合、つまり遺贈の場合には遺言執行者が選任されていないと手続き上の不都合が生じる場合があります。
特定遺贈であれば、遺言執行者がない場合は不動産の遺贈による登記については相続人全員と特定受遺者の共同申請で行わなければなりません。しかし、遺言執行者が選任されていれば遺言執行者と特定受遺者の共同申請で遺贈の登記を実行することができます。つまりその他の相続人の関与なく遺贈の登記申請が可能ということです。さらに、特定受遺者が遺言執行者に選任されていれば、実質的に特定受遺者単独で遺贈の登記が可能ということになります。

しかし、自筆証書遺言などでは遺言上で遺言執行者が記載されていないケースもあります。この場合、遺言執行者なくすべての手続きを進めていかなければならないのかといえば、そうではありません。遺言執行者は、遺言で選任するほか、相続が発生した後に家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てをすることで選任することもできます。

特に特定遺贈の場合には遺言執行者がいるのといないのとでは手続きの手間が大きく変わります。そのため、特定遺贈では遺言執行者の選任がほぼ必須と考えてよいでしょう。

家庭裁判所での遺言執行者の選任

遺言によって遺言を執行する人が指定されていないとき又は遺言執行者がなくなったときは,家庭裁判所は,申立てにより,遺言執行者を選任することができます。

申立できる人 相続人、受遺者、遺言者の債権者など
申立先の家庭裁判所 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
必要書類 遺言者の死亡が分かる戸籍
遺言執行者候補者の住民票
遺言書の写し
利害関係を証する書類(相続人であることが分かる戸籍など。受遺者の場合は遺言書で利害関係が分かるため不要。)

当事務所でも、遺言執行者の選任申立て代行を行っております。

費用については以下の通りです。

当事務所の報酬 55,000円(税込み)
収入印紙代 800円
郵送料、その他裁判所用の切手代 約4,000円
合計 約6万円

自筆証書遺言の場合は、遺言執行者の選任申立ての前段階として、遺言の検認手続きも必要となります。遺言検認手続きも当事務所で申立てのお手伝いできます。

遺言執行者の記載がない遺言を発見したら、お気軽に当事務所までご相談ください!