準確定申告とは?

相続が発生した場合で、被相続人が確定申告を行わなければならない人だった場合、亡くなった被相続人に代わって相続人が被相続人分の確定申告を行わなければなりません。

これを準確定申告といいます。

準確定申告の期限については、以下のように定められています。

所得税法 第124条
第120条第1項(確定所得申告)の規定による申告書を提出すべき居住者がその年の翌年一月一日から当該申告書の提出期限までの間に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その相続人は、次項の規定による申告書を提出する場合を除き、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日(中略)までに、税務署長に対し、当該申告書を提出しなければならない。

つまり相続人は、相続があったことを知ってから4か月以内に被相続人の確定申告書を税務署に提出しなければならないということになっています。

準確定申告の申告義務者

準確定申告の義務者である「相続人」には包括受遺者も含まれますので、包括受遺者も相続人と共同で準確定申告を行わなければならないということになります。一方、相続人ではないが特定の遺産を引き継いだ「特定受遺者」は相続人ではありませんので、準確定申告の義務はないということになります。

それでは相続人や包括受遺者がいない場合の相続、例えば相続人不存在のケースや特定受遺者のみのケースについては準確定申告はどうなるのかといえば、この場合被相続人の確定申告義務を承継する人がいないので、準確定申告の申告義務を負う人もいないということになります。

また、確定申告の義務は相続人は共同で承継することになります。そのため、準確定申告書も相続人の連名で提出するか、それぞれの相続人が別々に申告書を提出するかのいずれかです。通常は連名で提出するケースが多いです。

準確定申告の申告期限

準確定申告の期限については、上記の通り相続があったことを知ってから4か月以内です。この場合の4か月の期限については自己のために相続があったことを知った日から4か月以内です。相続発生日、つまり被相続人の死亡日から4か月ではないことに注意しましょう。

多くのケースでは被相続人が亡くなったことを知るのは亡くなった日だと思います。その場合は死亡日から起算することになります。例えば4月1日に被相続人が亡くなり、その日のうちに死亡の事実を知った場合は、8月1日が準確定申告の申告期限となります。

しかし、例えば子が相続人のケースで子が全員相続放棄した場合、子は最初から相続人ではなくなりますので、相続権は両親が死亡していれば兄弟姉妹に移ります。この場合、確定申告書の提出義務を承継するのも兄弟姉妹となります。この場合、兄弟姉妹が相続人になったことを知るのは子の相続放棄の審判が確定し、その事実を知らされた日です。この場合は、その日から4か月以内に準確定申告を行えばよいということになります。

また相続放棄でなくても、相続開始の事実を知ったのが相続から数日後といったケースでも、その知った日から起算することになります。それでは、相続人ごとに自己のために相続発生を知った時期が異なる場合はどうなるのかといえば、それぞれの相続人ごとに準確定申告の提出期限が異なるということになります。準確定申告の提出は相続人が個別に提出することも認められていますので、相続人ごとに準確定申告の提出期限が異なること自体は問題ありません。しかし、実務的にはそのようなことは考えづらく、最初に準確定申告の提出期限を迎える相続人がほかの相続人の分も含めて連名で提出することで、全相続人の準確定申告の申告義務を果たしたことにするのが通常です。

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