ネパール国籍の人でも日本で遺言を遺せるのかということについて、よく当事務所にも問い合わせがあります。

結論から言えばネパール国籍の人でも日本で遺言をすることができます。

そもそも外国籍の人が日本国内で遺言を作成するには3つのクリアするポイントがあります。

1)本国の法律で遺言の制度があるかどうか

2)遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか

3)不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか

ネパールの法律で遺言の制度があるか

まず、遺言については以下のように定められています。

法の適用に関する通則法
第37条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。

ネパールでは2017年に成立した民法で相続に関する事項が定められています。その中では日本のように公正証書遺言などの形式面までは定められていませんが、「遺言(Will)」という単語は何度か出てきます。つまり、ネパールの民法は遺言の存在を前提に作成されているということです。

遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか

そのうえで、遺言の方式については、以下のように定められています。

遺言の方式の準拠法に関する法律

第2条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

「行為地法」とは、とある法律行為をする地の法律のことです。公正証書遺言であれば、遺言という法律行為を行うのは日本国内の公証役場なので行為地法は日本です。

そのため、公正証書遺言については必ず行為地は日本になります。また、不動産に関する遺言についても不動産の所在地が日本国内にあれば海外で残した遺言であっても日本の民法の方式で残すことが可能です。

不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか

不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうかも重要な要素です。

その点について、ネパールの相続法では、財産の所有権は、当該財産が所在する国の法律に従って決定
されるものとすると規定されています。

ネパール国籍の方で日本に居住している人については、日本にある動産についても不動産についても日本で遺言書を作成することは可能です。

ただし、外国籍の方が日本の公証役場で遺言作成する場合には、本国の法律の条文など遺言制度が規定されていることを公証役場に証明する必要があるなど、日本国籍の方に比べて手続きが複雑です。

ネパール国籍の方で日本で遺言を遺したいという場合はお気軽に当事務所までご相談ください!

👉今すぐ無料相談