日本に居住するインド国籍の人は増加傾向にあり、日本に財産を残したまま亡くなるインド国籍の人も数多くいらっしゃいます。
そのため、存命の間に日本で遺言を残しておきたいというケースもよくあります。

そもそも外国籍の人が日本国内で遺言を作成するには3つのクリアするポイントがあります。

1)本国の法律で遺言の制度があるかどうか

2)遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか

3)不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか

インドの法律で遺言の制度があるか

まず、遺言については以下のように定められています。

法の適用に関する通則法
第37条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。

インドでは、国際的にも珍しい人的不統一法国です。インドでは、一般的な相続の法律である「インド相続法」と、特定の宗教を信仰する人のための法律である「ヒンドゥ相続法」に分かれています。ただし、ヒンドゥ相続法には遺言の規定がありません。そのため、もし被相続人が遺言を残していた場合は宗教にかかわらずインド相続法が適用されることになります。

そして、インド相続法では、遺言の規定がありますので、遺言自体は残すことができます。

遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか

そのうえで、遺言の方式については、以下のように定められています。

遺言の方式の準拠法に関する法律

第2条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

「行為地法」とは、とある法律行為をする地の法律のことです。公正証書遺言であれば、遺言という法律行為を行うのは日本国内の公証役場なので行為地法は日本です。

そのため、公正証書遺言については必ず行為地は日本になります。また、不動産に関する遺言についても不動産の所在地が日本国内にあれば海外で残した遺言であっても日本の民法の方式で残すことが可能です。

不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか

不動産や動産の相続にについて日本の法律を適用できるかどうかも重要な要素です。

その点インド相続法では以下のように規定されています。

不動産 不動産所在地の法律を適用する
動産 被相続人のドミサイルの法律を適用する

つまり、いわゆる「反致」によって、不動産については日本の民法によって相続手続きを行い、動産についてはドミサイルの法律を適用することになります。そのため、もし日本国内でインド国籍の人が死亡した場合は、不動産も動産も日本の民法によって相続手続きすることになります。もし、亡くなった地が外国であればその国の法律が動産には適用されます。

例えば、マンションなどの不動産を日本に所有するインド国籍の人が日本に住んでいる間に亡くなった場合、マンションの所有権も、マンションの中の家具などや現金預金は日本の法律が適用されます。もし、インド国籍の人が外国で亡くなった場合、マンション自体は日本の法律が適用されるが、現預金その他の動産についてはインドの法律に基づいて相続手続きを行うということになります。

そのため、遺言の対象にできるものも、亡くなった時点の居住地に左右されるということになります。

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