遺贈とは?

遺贈とは、遺言によって自分の財産を無償もしくは何らかの負担を付けて他者に譲り渡すことを言います。遺贈の相手は相続人に限りません。相続人がいない人について遺言によって第三者(内縁の妻など)に遺贈することもありますし、相続人がいても、別の第三者に遺贈することもできます。遺贈には、「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があります。

特定遺贈とは?

特定遺贈とは、具体的に引き継がせる財産を指定して行う遺贈です。「Aに○○銀行の預金全てを遺贈する」といった形で遺言書に記載されていれば、それは特定遺贈です。このほかにも、「Aに預金総額の2分の1を遺贈する」、「Aに不動産の全部を遺贈する」といった記載は割合で指定されているので一見包括遺贈のように思えますが、目的となる財産(現金や不動産)が特定されているので、特定遺贈として扱われます。

特定遺贈は、さらに特定物遺贈と不特定物遺贈に分けることができます。

特定遺贈の種類 内容
特定物遺贈 不動産や特定できる動産(自動車や絵画など)
不特定物遺贈 現預金の遺贈
種類物の遺贈(食物など替えが利くもの)

このように特定遺贈が分かれているのは、遺贈の対象物がいつ受遺者に移転するのがということが分かれるからです。特定物の遺贈については、遺言の効力発生、つまり被相続人の死亡と同時に権利が移転するのに対し、不特定物の遺贈の場合は権利の移転を遺贈義務者(遺言執行者など)に請求できる権利を取得するという違いがあるためです。

不動産などの特定物の遺贈では、相続とともに特定遺贈の効力が発生するので、遺言の効力発生すればすぐに遺贈による所有権移転の登記(万が一法定相続人による相続登記が行われていれば、その抹消登記)を申請することができます。

包括遺贈とは?

包括遺贈とは、目的となる財産を定めずに割合で定める遺贈の方法を言います。「Aに遺産の2分の1を遺贈する。」といったような形で遺言書に記載されていれば、それは包括遺贈です。遺産の全部を包括遺贈するケースを「全部包括遺贈」、遺産の一部を包括遺贈するケースを「一部包括遺贈」といいます。

包括遺贈を受けた者は相続人と扱われます。例えば、包括遺贈を受けた者(包括受遺者)は、全部包括遺贈でなければ遺産分割協議への参加をする必要がありますし、一部包括遺贈とともに特定遺贈が行われれば、特定遺贈の遺贈義務者として登記などの手続きに協力する必要があります。(遺言執行者がいる場合は除きます。)ただし、相続人以外の第三者が包括遺贈を受けたとしても法定相続人ではないので、相続税の基礎控除の計算に含めることはできません。

包括受遺者は相続人と同様に扱われますが、以下のような違いがあります。
1)包括受遺者が遺言者より先に亡くなっても、代襲相続のような制度はない。
2)その他の相続人が相続放棄しても、包括受遺者の持分は増加しない(遺言に定められた割合のみ取得できる。)
3)法人は相続人になることはあり得ないが、包括受遺者になることはできる

包括遺贈特定遺贈の大きな違いは、包括受遺者は相続人と同様の権利義務を有しますが、特定受遺者はそうした権利義務を有しないといった点があります。例えば特定受遺者は遺産分割協議への参加の必要はありませんが、包括遺贈者は相続人と同様に扱われますので、遺産分割協議への参加が必要です。

👉今すぐ無料相談