相続分の譲渡による税金の課税

相続人が自分の相続した持分を他人に譲渡する「相続分の譲渡」については、譲渡先に応じて大きく分けて2つのパターンがあります。

1)その他の法定相続人への譲渡
2)法定相続人以外の第三者への譲渡

また、譲渡の形態については、贈与と売買の2つのパターンがあります。

まとめると、以下の4パターンがあるということになります。

パターン1 その他の法定相続人への相続分の贈与
パターン2 その他の法定相続人との相続分の売買
パターン3 法定相続人以外の第三者への相続分の贈与
パターン4 法定相続人以外の第三者との相続分の売買
相続分の譲渡による税金の課税パターン

パターンごとに税金の取り扱いをまとめてみます。

パターン 税金上の取り扱い
その他の法定相続人への相続分の贈与 遺産分割と同じように扱われ、相続分の贈与を受けた相続人側で相続税が課税されます。
その他の法定相続人との相続分の売買 代償分割と同様に扱われ、譲渡をした相続人は譲渡額を相続した額と考えて相続税が課税され、譲渡を受けた相続人は支払った対価の分だけ相続税の課税対象となる財産が減少します。
法定相続人以外の第三者への相続分の贈与 相続分の贈与をした相続人は相続税が課税され、さらに相続分の贈与を受けた第三者には贈与税が課税されます。
法定相続人以外の第三者との相続分の売買 相続分の売却をした相続人は相続税が課税され、さらに譲渡した具体的な財産の種類ごとに譲渡した差益について所得税が課税されます。相続分を買った人には基本的には課税されませんが、次かに比べて著しく低い対価で売却を受けた場合には実質的に贈与とみなされ贈与税が課税されることがあります。

上記取り扱いからわかるように、相続人の間で相続分の譲渡が行われた場合には、それが贈与であっても売買であっても相続税の枠組みのなかに収まります。(相続人間で相続財産の移転があっただけなので、実質的に遺産分割と同じ扱い)

一方で、相続人から第三者に相続分の譲渡があった場合には、いったん相続人が相続して相続税の計算対象となり、その後、相続分の譲渡の様態に応じてさらに課税が行われます。遺言でも存在しない限り、被相続人から第三者に直接遺産が移転するということはないので、いったん相続を経て、相続人が自己の財産を譲渡したという扱いになるということです。

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