財産分与をする際の税金

相続とは直接関係ない話ですが、離婚時の財産分与と税金の関係についてです。

財産分与については以下のように定められています。

民法 第768条
  1. 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
  2. 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。

上記のように協議離婚の場合に一方の配偶者からもう一方の配偶者に行われるのが財産分与です。

財産分与は婚姻費用の清算という意味もあり、贈与ではありません。そのため、受け取った人に贈与税が課税されることはありません。

しかし、ここで注意しておかなければならないのは財産分与を行った人に譲渡所得税が課税されるということです。

財産分与を受ける人 贈与税の課税はされない
財産分与をする人 所得税が課税される

直感的には財産分与を受けた人に課税されて、財産分与をする人には課税されないように思えますが、実際にはその逆です。

財産分与をした人は財産分与をすることでお金がもらえるわけではありません。それでは、なぜ財産分与をした側に所得税が課税されるのでしょうか?

理屈としては、離婚時には婚姻費用の清算が必要であり、財産分与を行うことによりその清算義務が解消されるという経済的利益に対して課税しているという考え方や、いったん不動産を売却して現金化してから現金を財産分与する場合との釣り合いをとるためという考え方があります。

いずれにしても、財産分与をする側からすれば、現金が入ってくるわけでもないのに所得税が課税されることになるので、その点をしっかりと認識して財産分与を行う必要があります。

財産分与をする際の所得税額の計算

財産分与をしてもお金が入ってくるわけではありません。それではいくらで譲渡したことにするのでしょうか?その点について、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となります。時価は建物であれば固定資産税の評価額ですし、土地であれば路線価などから計算します。

ちなみに、不動産の譲渡所得の計算にはさまざまな特例がありますが、配偶者に対する譲渡についてはこの特例は適用されません。そのため、税金のことだけを考えるなら財産分与は離婚届を提出して戸籍上離婚が記録されたのちに行った方がよいでしょう。(そこは双方の話し合いになりますが。)

財産分与は登記や税金が絡みますので、裁判所が絡まずに当事者の話し合いで進める場合も慎重に進める必要があります。

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