無償で住んでいる親族等は使用貸借の関係

例えば、親が所有権の名義人である家で、子Aの家族と子Bが住んでいるケースを想定してみます。

この場合で、親が子Bに家の所有権を相続させるという遺言を残した場合、すでに住んでいる子Aやその家族の立場はどうなるのでしょうか?

そもそも無償でモノを貸すことを「使用貸借」といいます。家賃を取って貸すことを「賃貸借」といいます。

一般的には両者の違いは以下のようになっています。

使用貸借 賃貸借
賃料 無償 有償
相続 できない(相続人は対象物を返還しなければならない) できる
性質 諾成契約 諾成契約
借主の費用負担 通常使用するための費用は借主が負担 通常使用するための費用は支出時に貸主が負担
有益な費用(エアコン取付費など)は、契約終了時に貸主が負担
(いずれもいったん借主が支払った場合)
担保責任 贈与と同様 売買と同様
契約の終了 期間の定めがある
⇒満了時

期間の定めがない
⇒目的に達成後(目的がない場合はいつでも貸主が契約解除できる)借主はいつでも解除できる
期間の定めがある
⇒満了時
期間の定めがない
⇒いつでも解約の申し入れができる目的物が全部滅失したとき
債務不履行による解除
対抗要件 なし(当事者間だけの約束ごと) 賃借権の登記 など

このような違いはありますが、相続の仕事をやっていると時折問題になるのが、相続した不動産に親族やその他の第三者が無償で住んでいるケースです。この場合、相続した相続人は、相続発生前から住んでいる人を退去させられるのかということです。

この点を考えるには、使用貸借がどのようなタイミングで終了するかということを考えておく必要があります。

使用貸借の終了事由

使用貸借が終了する事由としては以下のケースが定められています。

1)当事者間で使用貸借の期間を定めていれば、その期間の満了
2)使用貸借の期間がない場合で目的達成後
3)借主の死亡

1)、2)のケースは何かしらの合意が必要ですが、3)借主の死亡というのは、使用貸借が当事者の特別な関係によって成立することが多く、借りた人が死亡した場合、その相続人には使用貸借する権利は相続されないということです。一方で、貸主が死亡した場合は使用貸借の終了事由とはなっていません。貸主が死亡するまでを使用貸借の存続期間として当事者間で定めていれば、期間の満了により使用貸借は終了することになりますが、このような取り決めがなければ、貸主に相続が発生したとしても、不動産を相続した相続人は、使用貸借の終了を主張することはできません。

もともと生前に貸主である被相続人から使用貸借している以上、不法占拠というわけでもありません。

そのため、借主としては貸主に相続があったとしても使用貸借が当然に終了するわけではないので、従来通りの使用貸借を継続することができます。一方で、貸主から不動産を相続した相続人としては契約期間の定めなどがない限り使用貸借の終了を主張することはできません。

もし、貸主の相続人が借主である別の親族や第三者に相続した不動産の明け渡しを求めたい場合には、このようなケースでは所有権に基づく建物明渡請求を提訴するなどの対応が考えられます。

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