ネパール国籍の被相続人の相続放棄の可能性

日本在住のネパール国籍の方は諸外国の中でも多く年々増加しています。そのため日本で亡くなるネパール国籍の方も多くなりました。ネパール国籍の方が亡くなり、その相続人の方から相続放棄についての問い合わせを受けるケースが増えたので、日本在住のネパール国籍の方が亡くなったときの相続放棄の可能性についてまとめました。

家事事件手続法

第3条の11 裁判所は、相続に関する審判事件(中略)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。

上記の通り、日本に最後の住所があった場合には、ネパール国籍の被相続人であっても日本の家庭裁判所が管轄権を有します。

しかし、もう一点そもそもネパールの法律で相続放棄という制度があるかどうかという問題があります。いくら日本の家庭裁判所が管轄権を有していても、そもそも本国の法律で相続放棄が定められていなければ相続放棄をすることはできません。

その点、ネパールの民法では相続放棄の制度そのものは規定されていません。ネパールの民法は2018年に施行された比較的新しい法律です。相続の放棄という考え方自体が浸透していないものと考えられます。

相続放棄は規定されていませんが、相続人が相続債権者に弁済する金額は相続財産の限度とするといった規定(限定承認のような考え方が最初から組み込まれている)が設けられているため、別途相続放棄を認める必然性が低いのかもしれません。

もしネパール国籍の人がなくなり相続債務が存在している場合、債権者にはその旨を伝えて対抗するということが考えられます。

ネパール国籍の被相続人の相続については、当事務所のように国際相続に詳しい専門家に依頼することをおすすめします。

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