合同会社の持分を遺言で承継させるには?

合同会社の社員が死亡した場合、定款に定めがなければその社員は退社となり、持分の払戻し請求権が相続人に相続されます。ただし、定款に定めておくことで相続人が持分の払戻し請求権ではなく、持分そのものを承継することができます。

持分そのものを承継することで、その相続人は合同会社の経営に関与することができます。合同会社は人的な結合を重視するスタイルなので、定款に特段の定めがなければその社員の相続人が経営には関与できませんが、定款に定めがあることでその相続人は持分そのものを承継することができるということになっています。

それでは、その持分の承継について、社員が遺言で承継する相続人を決めることは可能でしょうか?

答えとしては、定款の記載次第で「YES」です。

絶対条件として、遺言で承継する相続人を決めることができるには、定款に相続があった場合に相続人が持分を引き継ぐことができることが明記されている必要があります。社員の死亡は法定退社事由であり、定款に別段の定めがない限り適用されるので、これは当然の条件といえます。

もし遺言書で社員が合同会社の持分の承継を特定の相続人に指定していた場合でも、そもそも定款に相続人が持分を取得できる旨が記載されていなければ相続できないので遺言の内容は実行できないということになります。

この場合、「社員・経営者としての持分を取得させたい。」という相続人の意向なので、持分の払戻し請求権について遺言で記載されていなければ、持分の払戻し請求権については別途遺産分割協議が必要となります。

次に、定款で持分の相続が可能である旨が記載されているとして、その持分を社員個人の独断で特定の相続人に引き継がせることができるかという点があります。この点については、遺言で特定の相続人に持分の承継が明記されている以上、その遺言の記載は有効と考えられます。もし遺言がなく持分の相続が可能ということになれば、まずは持分は相続人の共有ということになり、そのうえで持分譲渡によって特定の相続人に持分を集めるというプロセスが必要です。

しかし、遺言で特定の相続人に持分を取得させる旨が記載されているということは、もともと相続人が一人しかいないケースと同視できるため、そのまま合同会社の持分も遺言の記載に従って承継されます。

結局、合同会社の持分を遺言で承継させるには、以下の点を満たしていればよいということになります。
1)定款に持分の相続が可能であることが記載されていること
2)遺言で特定の相続人に合同会社の持分を承継させることが明記されていること

合同会社の持分も含んだ遺言の作成をご希望の場合はお気軽にご相談ください。

👉今すぐ無料相談