権利能力と意思能力と行為能力の違い

法律用語はいろいろと特徴的なものが多いですが、よく「○○能力」という言葉も出てきます。例えば「権利能力」「意思能力」や「行為能力」という言葉です。

これらの言葉はそもそも日常ではまず使うことがないので法律家でもない限り覚えておく必要もない言葉かもしれませんが、その違いについて簡単に書いておきたいと思います。

民法では、それぞれの能力は以下のように定められています。

第三条 私権の享有は、出生に始まる。(権利能力)

第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。(意思能力)

第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。(行為能力)

これだけではなんだか分かりづらいですが、まとめると次のようになります。

種類 内容 認められない個人
権利能力 権利や義務の主体となる資格。生まれればすべての人に認められる。つまり個人についていえば「能力」というより生まれながらにして当然あること

法人については、法律(会社であれば会社法など)で認める範囲でのみ権利能力、つまり権利や義務の主体となることができる。

法令や条約で特定の権利(例えば投票権など)を制限された外国人
意思能力 法律関係を発生させる意思を持って行為を行って、さらにその結果を判断や予知できる能力のこと 幼児や泥酔者、重度の知的障害のある人などの意思無能力者

意思無能力者が行った法律行為はそもそもなかったものとなり、無効となる

行為能力 法律行為を単独で行うことができる能力のこと 未成年者、成年被後見人、被保佐人、特定行為について補助人の同意が必要な被補助人などの「制限行為能力者」

制限行為能力者が行った法律行為は法定代理人等によって取消しができる

特に相続の現場では、行為能力が問題になります。未成年者は単独で法律行為ができない、つまり遺産分割協議や相続放棄などを未成年者が単独で行うことはできません。さらに親権者が同じように相続人になる場合は利益相反行為になりうるケースもあるため、基本的には特別代理人の選任が必要となります。

法律行為とは?

法律行為とは、行為を行った者が希望した通りの効果を得ることができる行為です。

法律行為は、主に以下の3つに分けられます。

内容
単独行為 単独の意思表示で行われる法律行為 取消し、遺言、相殺、寄付など
契約 2つ以上の意思表示の合致で行われる法律行為 贈与、売買、遺産分割協議など
合同行為 多数当事者の意思表示で行われる法律行為 法人の設立など

意思能力にしても、行為能力についても上記の法律行為が有効かどうかを判定するための概念です。犯罪行為などそもそも法律行為に該当しない行為については、上記の民法上の意思能力や行為能力などで有効か無効かを判断することはありません。