Last Updated on 2025年8月21日 by 渋田貴正

世界には「民法典に相続編を持つ国」と、「コモンローや宗教法に基づく国」があり、相続のルールが大きく異なります。本ページでは、日本在住外国人が多い国を中心に、約150か国の相続法体系を分類し、一覧表でまとめました。

  1. 民法典に相続編あり
国名 備考/説明 地域
日本 民法に相続編あり アジア
中国 民法典に相続編あり アジア
台湾 民法に相続編あり アジア
韓国 民法に相続編あり アジア
ベトナム 民法典に相続編あり 東南アジア
タイ 民商法典に相続編あり 東南アジア
ラオス 民法典に相続編あり 東南アジア
カンボジア 民法典に相続編あり 東南アジア
インドネシア 民法典に相続規定あり(イスラム法併存) 東南アジア
フィリピン 民法典に相続編あり 東南アジア
ネパール 民法に相続編あり 南アジア
モンゴル 民法に相続編あり アジア
カザフスタン 民法に相続編あり 中央アジア
キルギス 民法に相続編あり 中央アジア
ウズベキスタン 民法に相続編あり 中央アジア
トルクメニスタン 民法に相続編あり 中央アジア
トルコ 民法に相続編あり 中東
イラン 民法典あり(イスラム相続規定を編入) 中東
ジョージア 民法に相続編あり コーカサス
アルメニア 民法に相続編あり コーカサス
アゼルバイジャン 民法に相続編あり コーカサス
ロシア 民法典に相続編あり 東欧・旧ソ連
ウクライナ 民法典に相続編あり 東欧
ベラルーシ 民法典に相続編あり 東欧
モルドバ 民法典に相続編あり 東欧
ルーマニア 民法典に相続編あり 東欧
ブルガリア 民法典に相続編あり 東欧
セルビア 民法典に相続編あり 東欧
クロアチア 民法典に相続編あり 東欧
スロベニア 民法典に相続編あり 東欧
ボスニア・ヘルツェゴビナ 民法系+相続法典あり 東欧
モンテネグロ 民法典に相続編あり 東欧
北マケドニア 民法典に相続編あり 東欧
アルバニア 民法典に相続編あり 東欧
ギリシャ 民法典に相続編あり 南欧
ポーランド 民法典に相続編あり 東欧
チェコ 民法典に相続編あり 中欧
スロバキア 民法典に相続編あり 中欧
ハンガリー 民法典に相続編あり 中欧
オーストリア ABGBに相続規定 中欧
ドイツ BGBに相続編あり 中欧
スイス 民法典に相続編あり 西欧
フランス 民法典に相続編あり 西欧
ベルギー 民法典に相続編あり 西欧
ルクセンブルク 民法典に相続編あり 西欧
オランダ 民法に相続編あり 西欧
イタリア 民法典に相続編あり 南欧
スペイン 民法典に相続編あり 南欧
ポルトガル 民法典に相続編あり 南欧
メキシコ 民法典に相続編あり(州法併存) 中南米
コロンビア 民法典に相続編あり 南米
ベネズエラ 民法典に相続編あり 南米
エクアドル 民法典に相続編あり 南米
ペルー 民法典に相続編あり 南米
ボリビア 民法典に相続編あり 南米
チリ 民法典に相続編あり 南米
アルゼンチン 民商法典に相続編あり 南米
ウルグアイ 民法典に相続編あり 南米
パラグアイ 民法典に相続編あり 南米
ブラジル 民法典に相続編あり 南米
ドミニカ共和国 民法典に相続編あり カリブ
ハイチ 民法典に相続編あり カリブ
エチオピア 民法典に相続編あり アフリカ
アンゴラ 民法典に相続編あり アフリカ
モザンビーク 民法典に相続編あり アフリカ
マダガスカル 民法典に相続編あり アフリカ
モーリシャス 民法典に相続編あり アフリカ
セーシェル 民法典に相続編あり アフリカ
  1. コモンロー型
国名 備考/説明 地域
イギリス コモンロー。Inheritance Actなどで相続規定 西欧
アイルランド コモンロー。Succession Act 1965 西欧
アメリカ合衆国 各州のProbate 北米
カナダ ケベック州以外はコモンロー 北米
オーストラリア 州ごとのSuccession Act オセアニア
ニュージーランド コモンロー、遺言法 オセアニア
香港 コモンロー。Probate Ordinance アジア
シンガポール コモンロー。相続は個別法 東南アジア
マレーシア コモンロー+イスラム法 東南アジア
ブルネイ コモンロー+イスラム法 東南アジア
インド コモンロー起源、宗教別法あり 南アジア
パプアニューギニア コモンロー オセアニア
フィジー コモンロー オセアニア
サモア コモンロー オセアニア
トンガ コモンロー オセアニア
ソロモン諸島 コモンロー オセアニア
キリバス コモンロー オセアニア
ツバル コモンロー オセアニア
ナウル コモンロー オセアニア
パラオ コモンロー オセアニア
マーシャル諸島 コモンロー オセアニア
ミクロネシア連邦 コモンロー オセアニア
ガーナ コモンロー+慣習法 アフリカ
ナイジェリア コモンロー+慣習法 アフリカ
シエラレオネ コモンロー アフリカ
リベリア コモンロー アフリカ
ガンビア コモンロー アフリカ
ケニア コモンロー アフリカ
ウガンダ コモンロー アフリカ
タンザニア コモンロー アフリカ
マラウイ コモンロー アフリカ
ザンビア コモンロー アフリカ
ジンバブエ コモンロー アフリカ
ボツワナ コモンロー アフリカ
レソト コモンロー アフリカ
エスワティニ コモンロー アフリカ
南スーダン コモンロー アフリカ
  1. イスラム法型
国名 備考/説明 地域
サウジアラビア シャリーアで相続分を規定 中東
イエメン イスラム法で相続規定 中東
アラブ首長国連邦 個人身分法(シャリーア) 中東
カタール 同上 中東
バーレーン 同上 中東
クウェート 同上 中東
オマーン 同上 中東
ジブチ イスラム法で相続規定 アフリカ
ソマリア イスラム法で相続規定 アフリカ
モーリタニア イスラム法で相続規定 アフリカ
スーダン イスラム法で相続規定 アフリカ
パキスタン イスラム法で相続規定 南アジア
バングラデシュ イスラム法+Succession Act 1925 南アジア
アフガニスタン イスラム法で相続規定 南アジア
モルディブ イスラム法で相続規定 南アジア
イラン 民法に編入、内容はイスラム法 中東
パレスチナ自治区 イスラム法で相続規定 中東
  1. 宗教法・慣習法・混合法
国名 備考/説明 地域
スリランカ ローマ=オランダ法+カンディアン法+イスラム法併存 南アジア
レバノン 宗派ごとに相続規定 中東
イスラエル 相続法1965+宗派身分法 中東
ヨルダン 相続は身分法で規定 中東
シリア イスラム個人法で規定 中東
イラク イスラム個人法で規定 中東
エジプト 個人身分法で規定 中東
リビア 個人身分法で規定 中東
モロッコ ムドワナ(家族法)に規定 北アフリカ
アルジェリア 家族法に規定 北アフリカ
チュニジア 個人身分法に規定 北アフリカ
セネガル 家族法に規定 西アフリカ
マリ 家族法に規定 西アフリカ
ニジェール 家族法に規定 西アフリカ
トーゴ 家族法に規定 西アフリカ
ベナン 家族法に規定 西アフリカ
ブルキナファソ 家族法に規定 西アフリカ
ルワンダ 家族法に規定 アフリカ
ブルンジ 家族法に規定 アフリカ
南アフリカ ローマ=オランダ法+慣習法+成文法 アフリカ
ナミビア 同上 アフリカ

 

 

現地の法改正があったり、そもそも法体系が不明確であるため、必ずしも100%正確な内容ではない旨はご了承ください。

コモンローとは?

コモンロー(Common Law)は、イギリスを起源とする法体系で、判例(裁判所の判断)が大きな役割を持ちます。成文法に加えて、過去の裁判例を基準に相続や契約のルールが決まる仕組みです。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、シンガポールなどで採用されています。相続についても「遺言(Will)」や「プロベート(Probate:遺言検認手続)」を通じて処理されます。

イスラム法とは?

イスラム法(シャリーア、Sharia)は、イスラム教の聖典クルアーンやハディース(預言者の言行録)を基盤とする法体系です。相続では、「遺産は家族に一定の割合で分割される」という細かな規定があり、自由に遺言できる範囲が制限されています。サウジアラビア、パキスタン、バングラデシュ、マレーシアなど多くのイスラム圏で適用されています。