時効取得が成立する要件
不動産や動産などのモノを時効取得する際には、以下のように定められています。
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つまりモノを時効取得するための要件は以下の3つをすべて満たす場合です。
1)所有の意思があること(自主占有であること)
2)平穏な占有であること(暴力や強迫などで獲得した占有ではないこと)
3)公然な占有であること(占有していることを隠ぺいしていないこと)
さらに、時効取得に必要な占有期間は以下のように定められています。
占有を開始したときに善意かつ無過失である場合 | 10年間 |
占有を開始したときに悪意である場合 | 20年間 |
占有開始時の善意と悪意とは?
一般的に、法律用語の善意とはある事実を知らないこと、悪意とはある事実を知っていることをいいます。
それでは、時効取得の場面で善意と悪意とはどのようなことを指すのでしょうか?
時効取得の場面で「善意」というと、占有をするための本権、つまり所有権を持っていると信じて占有をしていることをいいます。
一方で「悪意」はその反対なので本権、つまり所有権を持っていないことを知りつつ占有をしていることをいいます。また、所有権を持っているかどうかが分からない状態で占有している場合も悪意の占有と扱われます。
実は別の人の土地だけど先祖代々自らの土地だと信じて暮らしてきたら、実は数十年前に土地が売却されて他人のものになっていたというケースが善意の占有です。一方、他者が所有している土地だと知りつつ、そのうえで暮らしてきたというケースが悪意の占有です。
時効取得が成立するケースの多くは実際には悪意の占有が多いです。そのうえで、他人に所有権があることは認識しつつも、自らが所有の意思をもって占有を続けていれば時効取得が成立するということです。
極端なたとえになりますが、他人の高級腕時計を盗んだ人が、その時計を自分の持ち物にしたいと考えて保有していれば、それは悪意の自主占有です。(盗品は公然の占有ではないので時効取得が成立することはありませんが。)
悪意の自主占有という概念がちょっと理解しづらい面があるので整理してみました。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている