借地権とは?

借地権とは、そのまま読めば「土地を借りる権利」です。しかし、法律でいう借地権はものすごく強力な権利です。法律上の借地権とは、「建物の所有を目的とした土地賃借権または地上権」です。

借地借家法
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

1 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。

借地権を持っている人は借地権者と呼ばれます。借地権者とは、つまり他人の土地の上に建物を所有している人のことです。

土地や建物というのは形がある財産として明確に分かります。同様に、借地権も目には見えないものですが、借地権者が所有する財産的な価値がある権利です。なぜなら借地権は借地借家法によって保護されていて、いくら土地の持ち主(借地権設定者)であっても借地権が存在している以上は好き勝手に土地を処分するなどができないためです。形あるものだけが財産だと思ってしまいがちですが、借地権も目には見えませんが財産の一つです。

借地権の相続

借地権は土地の所有権と同じように財産的な価値がある権利です。そのため、もし借地権者が亡くなれば、借地権も相続の対象になります。被相続人が建物の所有権の登記名義人であれば、その建物の所有権を相続した相続人が借地権も併せて相続することになります。

借地権は財産的価値があるので、相続税の対象にもなります。借地権はあらかじめ決められた借地権割合という割合を土地の評価額にかけることでその価値を計算します。例えば土地の評価額が100で借地権割合が60%であれば借地権の評価額は60ということになります。

一方で、借地権のついた土地の所有者(借地権設定者)にとっては借地権がある分土地の価値が下がっています。そのため、借地権の評価額として持っていかれた分土地そのものの評価も下がります。上記の例でいえば土地そのものの評価は40ということになります。借地権がついた土地については、相続税の計算上、土地そのものの評価額を借地権と土地の評価に分割するというイメージです。

借地権を外部に主張するには登記が必要

借地権は土地そのものの評価にも大きく影響を及ぼすほど非常に強力な権利です。そのため、借地権者が借地権がある土地だということを外部に主張するには建物について登記が必要です。

借地借家法
第10条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

いくら他人の土地の上に建物を建てたとしても、その建物の登記をしておかないと借地権者であることを外部に主張できないということになります。つまり、建物の登記をしないまま土地の所有者が土地を売却してしまうと、借地権を土地の買主に主張できないということになります。この建物の登記については、所有権の登記のほかに、建物の表示登記だけでもよいということになっています。

この登記については、建物の所有者が土地の借主、つまり借地権者本人である必要があります。いくら親族でも配偶者や子供名義では借地権を外部に対して主張できません。相続があれば土地の賃借権も相続します。外部に借地権を主張するためにも、借地上の建物の相続登記は必ず行っておきましょう。

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