土地を越境してくる木の根っこは切断できる

相続登記で実家を引き継ぐ際などに、隣の家の木の根っこが自分の土地に伸びてきているといった相談を受けました。隣の家の人が処分する気がない中で、勝手に切り取ってしまってよいのかどうかといったことでした。

結論から言えば、自分の土地に伸びてきている隣の家の木の根っこについては切り取ってしまって大丈夫です。根っこは放っておくとどんどん伸びて土地を侵食してきます。根っこについては、隣の家の許可なく切断してしまって問題ありません。

越境してくる枝の部分は、基本的には相手に相談

土地を侵食してくる木の根っこと違って、枝や葉っぱはいつでも自由に切ってよいというわけではありません。枝葉については、民法上はまずは隣の人に切ってもらうことが原則ということになっています。しかし、隣の家の人にお願いしても対応してくれないといったこともあり得ますし、隣の家が空き家で持ち主がどこにいるかもわからないといったこともあり得ます。こうした枝を放っておくと日当たりにも影響しますし、家の外壁の汚れにもつながります。

そのため、相手に枝を切るように請求して相当期間(2週間程度)経っても対応してくれない場合や、そもそも誰が持ち主か分からないといったケースでは、伸びてきている枝を切ってしまってもよいということになっています。そのほかに、2週間も待てないような事情、例えば枝が折れかかっていて家を傷つけそうなときなどにも切ることが認められます。

枝を切るのにかかった費用負担

もし伸びてきている枝が太かったり、あまりにも多いため、自ら切ることができずに業者にお願いしたといったケースでは、費用の負担を相手に請求できると考えられます。もともと、自分が所有している木によって他人に迷惑をかけているわけですから、その処理も本来ならその木の所有者が負うべきです。それを肩代わりしたわけですから、相手方に枝の切除の費用を請求するのは当然といえば当然といえるでしょう。

民法 第233条

  1. 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
  2. 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
  3. 第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
    一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
    二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
    三 急迫の事情があるとき。
  4. 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。