遺産分割協議のやり直しはできる

早速答えを書いてしまいましたが、遺産分割協議のやり直しは可能です。遺産分割協議は相続人全員で行い、その総意で分割内容を確定させます。ということは、一度成立した遺産分割協議も、相続人全員が合意すれば一度成立した遺産分割協議を解除(合意解除)したうえで、改めて遺産分割協議をやり直すことができます。

もし、この場合で解除によって無効になった遺産分割協議に基づいて相続登記が行われてしまっていれば、その登記を抹消したうえで、新たな遺産分割協議書をもとに相続登記をやり直すことができます。この場合は、最初の登記の原因となった遺産分割協議自体が無効となりますので、更正の登記ではなく一度相続登記を抹消して、新たな遺産分割協議に基づいて登記をやり直すことになります。

ただし、一回目の相続登記のあとに抵当権を設定したり、その不動産を売買等により相続人から買い取った者がいれば、相続登記の抹消については、そうした利害関係者の承諾書(実印付き)が必要です。承諾が得られなければ、いくら相続人全員の合意で遺産分割協議をやり直すといっても、不動産については登記をやり直すことはできません。

代償債務を履行されないため遺産分割をやり直すことはできない

例えば「相続人Aが遺産のうち不動産を取得する代わりに、相続人BにAの財産から〇円を譲渡する」というように、代償分割を行った場合、代償債務を相続人Aが支払わない場合に遺産分割協議をやり直すことができるのでしょうか?

答えは、Noです。相続人全員の合意と違って、Aが債務を履行しないからといってBは遺産分割協議を解除することはできません。AのBへの代償債務の支払いは、遺産分割協議とは別にAとBの間でのお金の支払い義務の問題として扱われます。もしAが負担を履行しなければ、Bは遺産分割協議のやり直しではなく、Aに履行を請求したり、履行が受けられなければ差し押さえ等の手段で回収を図ることになります。

遺産分割協議が取り消しできるケースは?

例えば、相続人の一人が預金額などについて虚偽の説明をした結果、他の相続人が遺産の引継ぎをしなかったケースのように、遺産分割協議を行う前提そのものについて相続人の一部に誤った情報が与えられて、そのまま遺産分割協議をしたといった場合は、誤信した相続人は、遺産分割協議そのものの取り消しができます。

ただし、この場合は、誤信したことを証明するなど、取り消す相続人にも負担が発生します。

遺産分割を禁止する旨の合意もできる

共同相続人全員が合意することで、遺産分割を5年以内の期間禁止することもできます。

民法 第256条
  1. 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
  2. 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない

ただし、相続税の申告期限は相続発生から10か月以内といったように、遺産分割を禁止することでさまざまな弊害も起こり得ます。遺産分割を禁止するのは、遺産に手を付けたくないなどよほどの事情がないと行われないでしょう。

遺産分割を禁止する契約は登記することも可能です。この場合は、「〇年〇月〇日特約」、「〇年間共有物不分割」というような形で登記することになります。

当事務所では、一度行った遺産分割協議のやり直しについてもご相談に乗っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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