法定相続分による登記をしたあとに遺産分割があった場合

一旦法定相続分で登記したけど、その後、遺産分割協議が行われて、法定相続分以外での登記をする必要が出てくることがあります。その場合、登記上は所有権移転として、持分が増える相続人を登記権利者、持分が減る相続人を登記義務者として共同申請する必要がありました。

この場合、登録免許税も不動産の価額の0.4%かかりますし、持分が減る相続人の登記識別情報や、作成後3か月以内の印鑑証明書が必要となり、相続人にとって非常に手間がかかります。

法定相続分の登記後の遺産分割協議は更正登記も可能に

相続登記の申請義務化を見据えて、できる限り相続登記における負担を軽減するため、登記実務の扱いにも変更が見られます。その一つが、法定相続分の相続登記後の更正登記です。

更正登記とは、登記が初めから間違っていた場合にすでに行われた登記を訂正する手続きです。遺産分割協議の効力は、民法で以下のように定められています。

民法 第909条
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。

つまり、遺産分割協議が確定すれば、相続開始時に遡って効力を生じる、つまり法定相続分による登記も初めから間違っていたといえます。遺産分割協議による相続登記について更正の登記が認められるということは、民法の考えにも合致しています。

遺産分割協議による所有権移転登記と更正登記だと、以下のような違いがあります。

所有権移転登記 更正登記
登記の申請方法 その他相続人と共同申請 持分を取得した相続人の単独申請
登録免許税 不動産の価額の0.4% 不動産1件につき1,000円
相続人の印鑑証明書 発行後3か月以内のもの 期限なし
相続人の登記識別情報 必要 不要

上記のように、更正登記の方法によれば、所有権移転登記に比べて、書類の面でも費用の面でも申請する相続人の負担が相当軽減されます。

その他相続関係で更正登記が可能なもの

一旦法定相続での相続登記が行われた後に、単独申請での更正登記が可能なケースとしては以下のものがあります。

1)遺産分割協議(または調停や審判)による所有権の取得
2)他の相続人が相続放棄をしたことによる所有権の取得
3)不動産を特定の相続人に承継させる旨の遺言による所有権の取得
4)相続人が受遺者である遺贈による所有権の取得に関する登記

いずれの場合も、法定相続分での登記を行った後に、更正の登記によって持分の変更が可能となります。

民法 第939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

民法 第985条
1項 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。

相続放棄にしても、遺言にしても、上記の民法の条文通り、遺産分割協議と同様に遡及効があります。そのため、更正の登記にも法律上の正当性があります。

一旦行った法定相続分による相続登記を変更したい場合は、当事務所までお問い合わせください。

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