Last Updated on 2025年6月18日 by 渋田貴正
住民票の除票では足りない?外国籍の方特有の死亡を証する書類の注意点
外国籍の方が日本に在留していた場合、住民票が作成されており、死亡後は「住民票の除票」が発行されます。この書類には「死亡」と明記されている場合もありますが、登記や税務の場面ではそれだけでは不十分と判断されるケースが少なくありません。
理由は、住民票の除票は単に住民基本台帳上の記録であり、「法的に死亡が届出されたこと」を直接証明する書類ではないためです。とくに戸籍のない外国籍の方の場合、日本国内で亡くなった場合には別途、死亡届出証明書の提出が強く求められます。
書類 | 「死亡」記載の根拠法令 | 法的効力 |
---|---|---|
戸籍(日本国籍) | 戸籍法に基づく死亡届受理・記載 | 法的な死亡の公証記録 |
住民票の除票 | 住民基本台帳法上の住民記録抹消 | 行政記録上の抹消にすぎない |
2024年4月1日から施行された法改正により、相続によって不動産を取得した場合には相続登記が義務化されました。この義務は、日本国籍の方に限らず、外国籍の被相続人や外国籍の相続人にも等しく適用されます。
つまり、たとえ亡くなった方が外国籍であっても、日本に不動産を所有していた場合には、その死亡を証明し、相続登記を適正に行わなければなりません。ここで問題となるのが、「死亡の証明書類」をどう準備するかです。
死亡届出証明書とは?外国籍の被相続人の手続きで必須の書類
「死亡届出証明書」とは、市区町村に対して正式に提出された死亡届が受理されたことを証明する書類です。日本人の場合は戸籍謄本で死亡が確認できますが、外国籍の方には戸籍制度がないため、この証明書がその代替書類として使われます。
書類名 | 内容 | 外国籍の方に必要性 | 登記・税務での有効性 |
住民票の除票 | 住民台帳上の記録で死亡を反映 | 一部必要 | 補助資料にとどまる |
死亡届出証明書 | 死亡届が正式に提出されたことを証明 | 必須 | 正式な死亡証明として有効 |
戸籍謄本 | 出生から死亡までを記録(日本人のみ) | 該当なし | 使用不可(外国籍にはなし) |
登記実務では外国籍の被相続人の死亡届出証明書が必要
不動産登記の申請において、登記原因が「相続」である場合、登記官は申請内容の真実性を確認する必要があります。その際、死亡の事実を裏付ける書類として「死亡届出証明書」が用いられます。
これは、日本人であれば戸籍で足りるところ、外国籍の方にはその代わりとなる公式書類が必要であるという法的実務上の運用です。住民票の除票と死亡届出証明書がワンセットということです。
相続税の申告においても、「被相続人がいつ亡くなったか」を明らかにする書類が必要です。税務署に提出する申告書には、その死亡日を裏付ける公的書類の添付が求められます。
さらには、銀行口座や証券口座の相続手続においても、被相続人の死亡を証明する書類の提出が必須です。多くの金融機関では「戸籍謄本に代わる死亡届出証明書」の提出が求められます。一部の金融機関では、住民票の除票で足りる場合もありますが、手続きに時間がかかる場合があるため、最初から死亡届出証明書を取得しておくとスムーズです。
死亡届出証明書の取得方法
死亡届出証明書は、死亡届を提出した市区町村役場で発行してもらえます。通常、手数料は300円から400円程度です。取得には以下の情報が必要です。
- 被相続人(亡くなった方)の氏名・住所・生年月日
- 死亡日
- 届出人の氏名
- 届出先の役所
役所によっては、届出人本人でなければ発行できないとしている場合もありますが、相続登記や税務手続の代理人であれば取得できるケースが多くあります。
当事務所では、外国籍の方の相続に関する登記や税務手続を多数取り扱っており、死亡届の提出や死亡届出証明書の取得手続きも代行しています。ご自身で役所に出向くことが難しい場合でも、必要書類をご準備いただければ、こちらで一括してお手続きを進めることが可能です。
外国籍の方の死亡に関わる手続きは、戸籍制度が存在しないことから、書類の準備に戸惑われる方が少なくありません。しかし、必要な書類を適切に揃えることで、登記・税務・金融手続すべてが円滑に進められます。
外国籍の方の死亡や相続に関する登記・税務手続は、司法書士と税理士の資格を持つ当事務所にお任せください。死亡届出証明書の取得代行から登記・税申告まで、すべてワンストップで対応いたします。お気軽にご相談ください。

司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。