遺産分割協議は相続人全員が集まって行う必要はない

遺産分割協議といえば、「協議」の名の通り、相続人全員で遺産の行方について話し合いをすることです。

言葉の響きのイメージとしては、相続人全員が集まって行わなければならないように思えます。しかし、例えば地方と東京などの都市圏に相続人が居住しているということも多いため、実際には相続人全員が一同に集まって協議するということは、よほどタイミングが合わないと難しいケースも多いでしょう。特にある程度分割内容も決まっているようなケースでは、わざわざ相続人が集まって話合うということも必要ないでしょう。

その場合は、遺産分割協議書は相続人の一人が協議書を作成して、各相続人に持ち回って押印を受け取ったり、協議書を相続人間で郵送などでリレーして押印を集めたりする方法でも有効です。

民法上も、相続人が一堂に会して遺産分割協議を行わなければならないといった規定はありませんので、結局のところ、相続人全員が遺産分割協議書に書かれていることに承諾していればよいということになります。そもそも民法上、遺産分割協議の結果は書面に残さなければならないという規定も存在しないので口頭での合意も有効です。ただ、相続登記や相続預金の解約をする上では、遺産分割協議書の形で書面に残っていて、かつ各相続人の実印が押印されている必要がありますので、実務上は遺産分割協議書の作成は必須です。

相続人ごとに同じ内容の遺産分割協議書を作成する方法も可能

遺産分割協議書を一人の相続人が持ち回りしたり、書面をリレーしたりする方法も有効ですが、相続人が多いと、この方法でも非常に手間がかかりますし、いずれかの相続人の対応が遅いとそれだけで手続きが止まってしまいますし、遺産分割協議書を多くの人でやり取りすると書面そのものが汚れたり破損したりといったことも起こりやすくなります。

そのため、相続登記や預金解約の実務上は、遺産分割協議書の内容が同じであれば、各相続人が個別に遺産分割協議書に押印したもので人数分用意する形でも問題なく手続きが行われます。この方法であれば、最大で相続人の人数分の遺産分割協議書が作成されることになりますが、相続人の住所や氏名の欄以外の内容が全て同じであれば、全員で遺産分割協議が行われたものとして取り扱ってもらえるということです。

例えば甲乙丙が相続人であれば、それぞれ同じ内容の遺産分割協議書を3枚提出する形でもOKですし、甲+乙で1枚、丙で1枚の合計2枚の遺産分割協議書という形でも手続きできます。

弊所では、相続人が遠方に住んでいるなどで遺産分割協議書の収集が困難な相続人様のために、遺産分割協議書の収集代行も行っております。相続人同士が遠方に住んでいるといったケースでもぜひ当事務所にご相談ください。

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