Last Updated on 2025年6月19日 by 渋田貴正
日本で不動産を購入して不動産投資をしたり、不動産保有をしたりしたいとお考えの海外在住の方にとって、購入・保有・売却の過程で「納税管理人」や「確定申告」は避けて通れない手続きです。今回は、そのような海外在住の方の日本国内での不動産購入に関係する手続きについてまとめました。
「国内連絡先届出」とは?
海外在住の方が日本で不動産を購入する場合、所有権移転登記の際に「日本国内における連絡先」を法務局に届け出る必要があります。この制度は2022年の法改正により導入されたもので、所有者が日本国外に居住している場合でも、法務局からの通知や書類の送付が確実に行われるようにするための仕組みです。
この「連絡先」は登記簿上に記載されるものであり、個人でも法人でも構いませんが、日本国内に住所(所在地)があることが要件となります。例えば、購入者本人が海外在住の場合は、家族や友人、もしくは司法書士・税理士などの専門家を連絡先として登記するのが一般的です。
連絡先として指定された人物や事務所には、法務局からの登記に関する重要な通知が届きますので、信頼のおける人を選任するのが一般的です。また、この「国内連絡先」と後述の「納税管理人」を同一人物や事務所にしておくと、管理上の手間が大きく減り、手続きも円滑になります。
「納税管理人」とは何か?
納税管理人はなぜ必要?
海外居住の外国籍オーナーは、日本国内で課税される以下の税金に対応するため、国内の責任者=納税管理人が法律上必要です。
(納税管理人)
国税通則法 第107条
個人である納税者がこの法律の施行地に住所及び居所(事務所及び事業所を除く。)を有せず、若しくは有しないこととなる場合又はこの法律の施行地に本店若しくは主たる事務所を有しない法人である納税者がこの法律の施行地にその事務所及び事業所を有せず、若しくは有しないこととなる場合において、納税申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要があるときは、その者は、当該事項を処理させるため、この法律の施行地に住所又は居所を有する者で当該事項の処理につき便宜を有するもののうちから納税管理人を定めなければならない。 |
必要手続き例:
- 固定資産税・都市計画税等の地方税
- 賃貸収入に対する所得税・源泉徴収(20.42%)
- 不動産売却時の譲渡所得税(源泉徴収10.21%)
納税管理人には誰がなれる?
納税管理人は日本在住であれば、個人・法人どちらでも可能です。近年は税務の専門性を担保するため、税理士が選任されるケースが一般的です。
納税管理人の届出方法
所轄税務署に「所得税・消費税の納税管理人選任届出書」を提出します。届出後は、税務署からの連絡・各種書類送付・確定申告の提出・納税・還付まで、納税管理人が代行します。
4.頻繁に求められる税務手続きの流れ
税目 | 主な対応 | 源泉徴収率 | 届出者 |
不動産取得税・登録免許税・印紙税 | 取得時に納付 | – | |
固定資産税・都市計画税 | 年1回通知・納付 | – | 納税管理人 |
不動産賃貸の不動産所得 | 毎年所得申告が必要 | 賃料×20.42%源泉徴収 | 納税管理人 |
譲渡所得税(売却時) | 所得申告・納付 | 譲渡金×10.21%源泉徴収 | 納税管理人 |
5.納税管理人に任せるメリット
- 日本語だけで手続き完結:届出・申告・納付・還付・問い合わせ等、すべて当事務所が対応。
- ペナルティ防止:届出不備や期限超過による加算税・延滞税を回避。
- 一括ワンストップ対応:国内連絡先届出、税務届出、申告、納付まで専門家にまとめてお任せで手間削減。
不動産登記は司法書士が担当しますが、納税管理人と連携することで以下のようなメリットがあります。
- 住所・登記内容の更新の漏れ防止
- 連絡先・納税情報の整合性確保
- e‑Tax用届出との接続もスムーズに行えます
また、不動産の売却時には譲渡所得の源泉徴収・確定申告が必要です。納税管理人が適切なスケジュールで、源泉徴収の調整、確定申告、納付または還付まで対応します。
当事務所は、司法書士と税理士の両方の資格を有しており、登記手続きから税務申告までを一括で対応できる数少ない専門事務所です。不動産の購入から保有、売却に至るまで、登記と税務が密接に関わる一連の流れをワンストップでご提供できることが最大の強みです。
- 登記・税務のワンストップ対応:司法書士・税理士の両資格保有により、窓口を一本化。
- 手間の削減と正確な処理:複数の専門家に依頼する必要がなく、情報の食い違いや二重の手続きが発生しません。
- 日本語で完結する安心サポート:外国籍の方でもスムーズに進められるよう、丁寧で明確なご説明。
- 最新法令に準拠した対応:納税管理人制度・源泉徴収率・確定申告期限に関する最新情報を踏まえた正確な手続き。
最後に、当事務所に依頼いただくと、国内連絡先への就任・納税管理人の就任、確定申告書の作成・提出まですべてまとめてワンストップで対応可能ですので、「手間をかけずに、安心して日本で不動産運用したい」とお考えの外国籍の方や海外在住の日本国籍の方にとって、大きなメリットとなります。お気軽にご相談ください。

司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。