遺産分割協議書の誤りは更正登記で対応できる
一旦行った遺産分割協議に基づく登記で、登記された持分が実際の持分と異なってしまうことがあります。考えられるケースとしては以下のようなものがあります。
【ケース1】
A,Bが相続人で、Aが3分の2、Bが3分の1で不動産を相続するといった遺産分割協議が行われたのに、誤ってそれぞれ2分の1ずつ相続するという遺産分割協議書を作成してしまい、そのまま登記が行われてしまったケース
【ケース2】
一度行った遺産分割協議に基づいて相続登記を行った後に、遺産分割協議をやり直して、当初とは異なる持分となったケース
いずれの場合も、登記されている持分と実際の持分が異なりますので、登記が必要です。この場合、AとBの間には売買や贈与などは発生していませんので、更正の登記によって登記を正しい持分に直すことになります。
遺産分割協議の更正登記
一旦行った遺産分割協議について更正登記を行う場合には、持分が減少する相続人を登記義務者、持分が増加する相続人を登記権利者として更正登記を申請します。
持分が変動しない相続人については、更正登記には関与しません。例えば、ABCの3名が相続人で、遺産分割協議書により、それぞれ3分の1ずつの相続登記を行ったけど、実はAは0、Bが3分の1、Cが3分の2だったという場合にはAが登記義務者、Cが登記権利者となります。更正の前後で持分が変わらないBは更正登記には無関係です。
この場合、必要になるのは以下の書類です。
1)A(持分が減る登記義務者)の印鑑証明書(登記申請日からさかのぼって3か月以内のもの)
2)Aの登記識別情報
3)Cの住民票
4)登記原因が分かる書類(訂正後の遺産分割協議書と上申書)
更正登記の場合は、不動産1件につき、登録免許税は1,000円です。土地と建物が1件ずつなら2,000円といった形です。
最初の相続登記の際に、不動産評価額の0.4%の登録免許税を納めますが、更正登記では不動産評価額にかかわらず1,000円です。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている