Last Updated on 2025年6月1日 by 渋田貴正
税務署の届出期限は「提出タイミングの型」に注意!
税務署へ提出する各種申告書や届出書は、それぞれ「提出期限」が法律で定められています。
この期限には大きく分けて以下の2パターンがあります:
- 開始前に出さなければならない「開始前提出型」
- 開始や事業年度末日から〇日以内とされている「期限日数指定型」
また、初年度と2年目以降とでは期限の計算が異なることもあるため、注意が必要です。
確定申告書や法人税申告書などの「申告書」関係は、もれなく〇日以内の「期限日数指定型」ですが、それ以外の届出書や申請書関係は、いずれのパターンに該当するか注意が必要です。
主な税務署届出書と提出期限一覧
書類名 | 提出期限(初年度) | 2年目以降の提出期限 | 提出パターン |
青色申告の承認申請書(個人) | 開業日から2か月以内 | 適用しようとする年の3月15日まで | 期限日数指定型 |
青色申告の承認申請書(法人)① | 設立から3か月以内 | — | 期限日数指定型 |
青色申告の承認申請書(法人)② | 最初の事業年度終了日の前日まで | 適用しようとする事業年度開始の日の前日まで | 開始前提出型 |
消費税課税事業者選択届出書 | 適用開始年度開始日の前日まで | 同左(翌課税期間から適用) | 開始前提出型 |
簡易課税制度選択届出書 | 適用開始年度開始日の前日まで | 同左 | 開始前提出型 |
簡易課税制度選択不適用届出書 | 不適用開始日の前日まで | 同左 | 開始前提出型 |
棚卸資産の評価方法の届出書 | 事業開始から2か月以内 | 適用しようとする年の確定申告期限まで | 期限日数指定型 |
減価償却資産の償却方法の届出書 | 事業開始から2か月以内 | 適用しようとする年の確定申告期限まで | 期限日数指定型 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 開設日から1か月以内 | 開設のたびに必要 | 期限日数指定型 |
源泉所得税の納期の特例の承認申請書 | 特例適用前に提出(期限明記なし) | 特例適用開始前まで | 開始前提出型 |
開始前提出型は土日祝でも期限が延長されない
「消費税課税事業者選択届出書」や「簡易課税制度選択届出書」などの開始前提出型は、適用開始日の「前日まで」に提出しないと適用が受けられません。
たとえば2年目以降に簡易課税制度の適用を受けたければ、1期目の末日までに提出しなければいけません。期限日数指定型と大きく違うのは、年度末が土日祝だったとしても、翌月曜日に提出期限が先延ばしされるということがないという点です。
届出書には「開始前提出型」と「期限日数指定型」の2つのパターンがありますが、それぞれ土日祝日が提出期限に重なった場合の扱いも異なるため注意が必要です。
【開始前提出型】
このパターンでは、適用開始日の前日が提出期限となるため、その日が土日祝であっても期限の延長はありません。
たとえば、課税期間の初日が4月1日であれば、3月31日が期限ですが、それが土曜日でも3月31日中に提出しなければならないという点にご注意ください。
【期限日数指定型】
一方、「開業日から2か月以内」「設立から3か月以内」などと日数で定められているパターンでは、その期限日が土日祝の場合は、翌開庁日が期限となります。
たとえば、個人の青色申告の承認申請書は「開業日から2か月以内」が原則ですが、その満了日が日曜日であれば、その次の月曜日(平日)が提出期限になります。
(期間の計算及び期限の特例) 国税通則法 第10条 国税に関する法律において日、月又は年をもつて定める期間の計算は、次に定めるところによる。 (中略) 2 国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。 |
この条文の「時をもつて定める期限」というのが開始前提出型に該当するということです。」
提出パターン | 土日祝に当たった場合 | 期限の延長有無 |
---|---|---|
開始前提出型 | 適用開始日前日が期限 → 土日祝でも期限厳守 | 延長なし |
期限日数指定型 | 起算日から〇日目が期限 → 土日祝の場合は翌営業日 | 延長あり(国税通則法第10条第1項) |
初年度は提出猶予がある一方で、2年目以降は年初または期首“前”に出す必要があるケースがほとんどです。
特に法人の青色申告は、事業年度開始前の提出が求められるため注意が必要です。
提出した届出書などは、毎年確認するのが鉄則
簡易課税制度は一度選択すると、最低2年間は継続適用しなければならず、その後不適用にする場合も不適用にしたい年度が始まる日の前日までに「選択不適用届出書」を提出する必要があります。このように届出を忘れると、予定していた課税方式が適用されず、損をする可能性があります。
届出の種類ごとに期限のルールが異なるため、個人事業主でも法人でも、税理士など専門家と連携してスケジュール管理することが重要です。
当事務所では、初年度の各種届出だけでなく、2年目以降の適用管理も含めたトータルサポートをご提供しております。
「これ、いつまでに出せばいいんだっけ?」と不安に思ったら、ぜひお気軽にご相談ください。

司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。