2024年に予定されている相続登記の義務化では、相続によって所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権移転の登記を行わなければならないということが定められています。
また、遺産分割協議がまとまらない場合のために、相続人申告登記という制度も作られます。相続人のだれかが、「自分が相続人です」と登記するもので、仮登記と同じような感覚でしょうか。
しかし、そもそもどの相続人も引き継ぎたくない不動産が相続財産になるケースがあります。例えば、先祖代々受け継いできた地方の山林や、だれも住んでいない空き家や更地などです。どの相続人の家からも遠くて管理も大変で、活用の道もなく、査定に出そうにも買い手がつかなさそうで処分もできないといったケースが考えられます。
このようなときは、新たに国庫に帰属、つまり不要な土地を国に譲り渡すという制度も2024年から開始されます。ただし、10年分の管理費を支払う必要があったり、対象となる土地は更地で抵当権などが設定されていないものという条件があったりしますので、どこまで活用できるか未知数です。
こんなケースで、もし被相続人の遺産が多少の現預金と用途のない不動産だけであれば、相続人全員で相続放棄してしまうということも一つの手です。ただし、いらない土地だけを相続放棄ということはできないので、全員が相続放棄すれば、いずれは相続財産は国のものになります。遺産の大部分が不動産で用途がないといった場合には、相続放棄も増えてくるのではと思われます。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている