Last Updated on 2026年2月28日 by 渋田貴正

海外の会社が日本に進出する際、外国会社の登記を行えば法人番号も自動で付与されると理解されているケースは少なくありません。例えば、アメリカの会社が東京に営業所を設置し、法務局で外国会社の登記を完了したケースです。この時点で「日本の会社と同じように法人番号が自動で付与される」と考えてしまうのは自然なことです。しかし、実務ではここに重要な落とし穴があります。

結論から申し上げると、外国会社は日本で登記をしても、それだけでは法人番号は自動で付与されません。これは日本法人との根本的な違いです。この違いを知らないまま進めると、銀行口座が開設できない、税務届出が進まないなど、思わぬところで手続が止まることがあります。

法人番号とは何か?外国会社にも必要な理由

法人番号とは、国税庁が法人等に対して指定する13桁の番号です。法人番号は、税務手続、銀行口座開設、契約書作成、インボイス制度など、日本で事業を行ううえで不可欠な番号です。法人番号は、個人のマイナンバーと似ていますが、異なり公開されます。国税庁の法人番号公表サイトで誰でも確認できます。

外国会社であっても、日本で口座開設をしたり税金の申告をしたりする場合には、この法人番号が必要になります。特に、日本で給与を支払う場合や、日本で法人税や消費税の申告を行う場合には、法人番号が前提になります。つまり、法人番号がなければ、日本での事業活動のスタートラインに立てないと言っても過言ではありません。

なぜ外国会社は登記しても法人番号が自動付与されないのか

ここが最も重要なポイントです。日本法人の場合、会社設立登記をすると、その登記情報が法務局から国税庁へ連携され、自動的に法人番号が付与されます。しかし、外国会社は事情が異なります。外国会社の登記は、日本法に基づく「設立登記」ではありません。会社法第933条は、外国会社が日本で継続的に取引を行う場合に、日本における代表者を定めて登記することを義務付けていますが、これはあくまで「外国会社の存在を日本で公示する登記」です。日本法人のように「日本法に基づいて新たに法人を設立する登記」ではありません。この違いにより、外国会社は番号法上の「設立登記法人」に該当せず、登記だけでは法人番号が自動付与されないのです。つまり、外国会社の登記は「会社を作る登記」ではなく、「会社が存在することを知らせる登記」なのです。この違いが、法人番号付与の有無を分ける決定的なポイントです。

外国会社に法人番号が付与される具体的なケース

外国会社に法人番号が付与されるのは、主に税務署に届出を行った場合です。具体的には、以下のような届出を提出した場合です。

届出の種類 法人番号付与の有無 理由
外国会社の登記のみ 付与されません 設立登記法人に該当しないため
法人設立届出書の提出 付与されます 税務上の管理対象になるため
給与支払事務所等の開設届出書 付与されます 源泉徴収義務が発生するため
消費税関係届出書の提出 付与されます 課税事業者として管理されるため

つまり、外国会社は「登記」ではなく「税務届出」によって法人番号が付与されるのです。実務では、外国会社の登記後に税務署へ法人設立届出書を提出し、その後法人番号が付与される流れになります。

外国会社に法人番号がないと何が起きるのか

法人番号がない状態では、日本での事業活動に支障が生じます。例えば、銀行口座の開設です。銀行は法人番号を通じて法人の実在性を確認します。法人番号がない場合、審査が厳しくなったり、開設ができなかったりすることがあります。また、インボイス制度への登録もできません。インボイス制度では、登録番号は法人番号を基礎として付与されるためです。さらに、税務署への届出や申告でも法人番号が必要になります。これは、法人番号が「税務上の識別番号」として機能しているためです。

例えば、海外の会社が日本に営業所を設置し、登記だけを行ったものの、税務署への届出をしていなかったケースがあります。この場合、銀行口座の開設を申請した際に法人番号が存在しないことが判明し、追加で税務署への届出が必要になりました。このように、登記と税務届出は別の手続であり、両方を適切に行う必要があります。登記は会社法の手続であり、税務届出は法人税法等の手続です。この二つは互いに連動しているように見えて、実は独立した手続です。ここを正しく理解していないと、実務が途中で止まってしまいます。

外国会社が日本で事業を行う場合、登記だけでなく税務届出まで含めて初めて実務が完結します。登記はスタートであり、法人番号の付与は税務届出によって実現します。この流れを正しく理解して進めることで、銀行口座開設や税務手続をスムーズに進めることができます。外国会社の登記は、日本法人とは異なる特有の論点があります。どのタイミングで税務届出を行うべきか、恒久的施設に該当するか、消費税の課税関係はどうなるかなど、登記と税務は密接に関係しています。

当事務所では、外国会社の登記から法人番号付与のための税務届出、その後の税務申告まで、税理士・司法書士の両面から一貫してサポートしております。外国会社の日本進出を確実かつスムーズに進めたい方は、ぜひ安心して当事務所にご相談ください。