Last Updated on 2025年8月29日 by 渋田貴正

合同会社の清算結了とは

会社を解散してもすぐに消滅するわけではなく、解散後には「清算」という事務処理が行われます。清算では、債権の回収、債務の支払い、残余財産の分配などを終えて初めて「清算結了」となります。

株式会社の場合は、清算結了時に「決算報告書」を作成し、株主総会で承認を受ける必要があります。一方、合同会社の場合は「清算に係る計算」を作成し、社員の承認を受けることになります。

合同会社には株式会社のように細かい法定記載事項の規定はなく、清算人が実務的に必要な範囲で作成することが認められています。人的つながりを重視する合同会社では、清算時にも株式会社のように法的拘束力を持った規定はほぼないということです。

清算結了時の貸借対照表に残る勘定科目

清算結了時の貸借対照表は、すべての科目をゼロにしなければならないわけではありません。大切なのは「債権の取立てや債務の支払いが完了しているかどうか」です。

以下の科目は、清算結了時に残っていても不自然ではありません。

勘定科目 残る理由
資本金 出資金は返還する性質ではなく、清算結了後に消滅処理されるため残高が表示されることがある
利益剰余金 清算中の処理上、形式的に残高が表示されることがある
清算損益 清算期間中の収支結果を示すため、ゼロでなくてもよい
未払法人税等 決算後の申告や納付待ちの場合に残ることがある
未収入金 中間納付の還付がある場合に一時的に残る

したがって、「残がある=手続きが不完全」という意味ではなく、会計処理の過程で数字が残ることは通常のことなのです。

清算結了について株式会社と合同会社の比較

株式会社と合同会社の清算結了における会計処理の違いを表にまとめると次の通りです。

株式会社 合同会社
報告書名称 決算報告 清算に係る計算
法定記載事項 ・債権取立や資産処分による収入額
・債務弁済や清算費用支払による費用額
・残余財産の額(税額がある場合は控除後額)
・1株当たりの分配額
・残余財産の分配完了日
・金銭以外の残余財産がある場合は種類・価額
特に規定なし。清算人が業務結果を社員に説明する趣旨で作成される
承認機関 株主総会 社員全員
登記必要性 清算結了登記に添付 清算結了登記に添付

この比較から分かるように、株式会社の方が記載内容は細かく定められており、合同会社は柔軟性があります。実務上は、株式会社の決算報告の内容を参考にしながら作成すると無難です。

残余財産の分配と現金以外の取扱い

株式会社の決算報告には「残余財産の全部または一部が金銭以外である場合、その種類と価額を記載」との規定があります。これは、残余財産は必ずしも現金で分配する必要がなく、不動産や有価証券などの現物財産でもよいことを意味しています。

合同会社においても同様に、残余財産を現金以外の財産で分配することは可能です。重要なのは、数値上の計算で「残余財産として何がいくらあるか」を明らかにすることです。その財産を現実にどのように社員間で分配するかは、社員の合意に基づく取り決めとなります。

例えば、不動産が残余財産となった場合には、その評価額を清算計算に記載し、実際の分配については持分比率に応じて共有登記を行うか、あるいは売却して金銭で分配するかを社員間で決めることになります。

合同会社の清算結了手続きのおおまかな流れ

合同会社の清算結了は次の流れで進みます。

  1. 解散登記を行う
  2. 債権を回収し、債務を弁済する
  3. 残余財産を社員に分配する
  4. 清算に係る計算を作成し、社員の承認を得る
  5. 清算結了登記を申請する

この⑤が終わって初めて、合同会社は完全に消滅します。

清算結了に伴い、法人税・消費税の確定申告が必要です。特に残余財産の分配が資本の払い戻しなのか利益の分配なのかによって課税関係が変わります。

  • 出資額の範囲内 → 原則課税なし
  • 利益部分の分配 → 配当所得や事業所得として課税

また、未払法人税等が残っている場合は、清算結了時点で貸借対照表に表示されていても問題はありませんが、必ず申告・納付を完了させる必要があります。

実務では、清算結了時に貸借対照表上で「資本金」や「未払法人税等」が残っているケースがよくあります。これは手続の不備ではなく、処理のタイミングや表示方法の違いにすぎません。

また、残余財産が不動産の場合、評価額を計算上記載したうえで、分配の方法を社員間で調整するケースもあります。このように、清算結了は「会計上の数字」と「実際の分配方法」を切り分けて理解することが重要です。

合同会社の清算結了には、登記だけでなく会計・税務の正確な処理が欠かせません。貸借対照表に残る勘定科目や残余財産の分配方法で迷われた場合は、司法書士・税理士の両面からサポートできる当事務所へぜひご相談ください。