Last Updated on 2026年2月3日 by 渋田貴正
最近、次のような相談が増えています。
「まだ会社を作っていませんが、取引先から法人番号の提出を求められました。」
「法人番号は会社設立をしないともらえないものではないのですか。」
法人番号とは「会社を設立して登記をすることで自動的に付く番号」として認識されているのが通常です。確かにそれは一般的なルートです。しかし、実は設立登記をしていなくても、法人番号の指定を受けることは可能です。
法人番号は、国税庁が法人や一定の団体に付与する13桁の番号です。法人税の申告書、その他税金や社会保険関係などの手続きに必要となります。主に税務手続を円滑に行うことが目的であり、登記制度とは別の仕組みです。つまり、「登記があるかどうか」と「法人番号をもらえるかどうか」は、必ずしも一致しません。多くのケースは会社設立の登記をしたあとで自動付与されますが、それ以外にも付与を受ける方法はあります。
ただし、どのような法人、団体が登記を経ずに法人番号の付与を受けられるかどうかは厳密に決まっています。
設立登記しなくても法人番号がもらえる「指定対象者」3類型
設立登記をしていなくても法人番号の指定を受けられるケースとして、国税庁は次の3類型を定めています。
| 類型 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| ① 自ら法人税などの申告書等を提出しなければならないケース | 法人税申告書、消費税申告書、支払調書などを提出する立場になる団体 | ボランティアで運営される人格のない社団等や組合などで、法人税の申告書の提出義務者となる場合 日本で登記していない外国会社が含まれることもある |
| ② 取引の相手方の支払調書に自らの法人番号の記載が必要なケース | 相手方の申告書に記載するため法人番号の提出を求められる団体 | 原稿料や講演料などの報酬を団体として受け取り、支払者から法人番号の提出を求められる団体 |
| ③ 国内に本店又は主たる事務所を有する法人 | 国内法に基づき成立しているが設立登記を行わない法人を含む | 土地改良区、健康保険組合など。 |
この3類型のいずれかに該当すれば、設立登記をしていなくても法人番号の指定対象になります。
類型1 自ら法人税などの申告書等を提出をしなければならないケース
法人税申告書、消費税申告書、源泉所得税の納付書など、国税に関する申告書や届出書を自分で提出する立場になる場合は、法人番号が必要になります。
たとえ株式会社や合同会社のような設立登記をしていなくても、収益事業を行っていて法人税の申告義務が生じる場合や、
給与を支払い源泉所得税の納付義務が生じる場合には、この類型に該当します。また外国会社で会社法上の外国会社の登記が必要ないケースでも法人税の申告が必要となるケースもこの類型に該当します。
「会社を作っていないから関係ない」というわけではありません。自分が税務署に提出する書類があるかどうかが判断基準です。
類型2 取引の相手方の支払調書に自らの法人番号の記載が必要なケース
例えば、任意団体や人格のない社団等が、企業から講師業務や調査業務、イベント運営などを受託し、団体名義で業務委託料を受け取るケースが該当します。
この場合、報酬を支払う企業側は、支払調書を税務署へ提出する義務があります。支払調書では、支払先が「法人等」の場合には法人番号の記載が求められます。
そのため、受け取る側の団体自身に法人税の申告義務がなくても、相手方の申告書に記載するために法人番号の提供を求められることになります。
類型3 国内に本店または主たる事務所を有していて法人番号が必要なケース
国内の法律に基づいて成立しているものの、株式会社や合同会社のように「設立登記をする仕組みが用意されていない法人」も存在します。このような法人も、法人番号の指定対象になります。
具体的には、土地改良区のような公共性のある団体や、親会社から社員の派遣を受けて運営されている健康保険組合などが挙げられます。これらの法人は、法人税や消費税の申告義務、給与に係る源泉所得税の納付義務がないケースであっても、制度上は法人として扱われます。
3類型の中ではもっとも特殊で限定的な類型です。
設立登記していない法人が法人番号の指定を受けるための手続
法人番号の指定を受ける場合は、「法人番号の指定を受けるための届出書」を作成し、国税庁(法人番号管理室)へ提出します。法人番号は全国共通の番号であり、各税務署ではなく、国税庁が一元管理しています。そのため提出先も国税庁になります。
提出方法は、
・e-Tax
・書面提出
のいずれでも可能です。手数料はかかりません。
内容に問題がなければ、法人番号が指定され、公表されます。
設立登記をしていなくても、法人番号の指定を受けられるケースは確かに存在します。自分のケースが該当するかどうか、登記が必要なのか、届出だけで足りるのかでお悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。税理士・司法書士の立場から、状況に応じた最適な対応を整理し、ご提案いたします。

司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。
