Last Updated on 2026年1月29日 by 渋田貴正

「1月1日を会社の設立記念日にしたい」「自分の誕生日を会社のスタート日にしたい」会社設立の相談を受けていると、このようなご希望は実はとても多いです。これまでも数えきれないほどこうしたニーズを聞いてきましたが、会社設立の登記申請は法務局の開庁日に行う必要があり、1月1日や土日祝日は会社設立日として選ぶことができませんでした。

司法書士に依頼すれば平日が忙しくても設立日には影響ありませんが、「設立日そのものを特定の日にしたい」というニーズについては、制度上どうしても限界がありました。

この状況を大きく変える改正が行われ、2026年2月2日(月)から、階差設立日の指定についての改正がありました。この日以降は、一定の要件を満たすことで、土日祝日などの行政機関の休日を会社の設立日として指定することが可能になります。

単なる利便性向上ではなく、「会社の誕生日を自由に決められる」という意味で、象徴的な制度改正といえます。

会社設立日が重要になる理由

会社の設立日は、単なる記念日ではありません。

・事業年度の起算日
・補助金、融資、許認可の基準日
・契約書上の会社情報

など、実務上さまざまな場面で使われます。

たとえば、1月1日設立にできれば、覚えやすいだけでなく初年度の事業年度を分かりやすく管理でき、決算・申告スケジュールも整理しやすくなります。「たかが1日、されど1日」です。また、「○○の日」といった祝日や、あいにく記念日と被ってしまった土日でも会社設立日として指定できます。会社のスタートを「縁起の良い日」「思い入れのある日」にできるのは、起業家にとってうれしいポイントです。

区分 設立日の考え方
従来 登記申請日 = 会社設立日
改正後
(いずれかを選択)
登記申請日を会社設立日とする方法
指定した休日を会社設立日とする方法(特例)

土日祝、1月1日を会社設立日に指定するには?

今回の制度は、設立登記の効力発生日を、行政機関の休日に指定できるというものです。

法務局の窓口は土日祝日は開いていませんし、登記のオンライン申請システムも原則として稼働していません。
本制度は、あらかじめ申請書で指定した休日を「設立日として扱う」ことができるという仕組みです。

この制度を利用するには、以下のすべてを満たす必要があります。

要件 内容
① 対象となる会社等 登記が成立要件となる会社・法人であること(株式会社、合同会社など)
② 申請書への記載 申請書に「本特例を求める旨」と「指定登記日」を記載すること
③ 指定登記日 指定する日が行政機関の休日であること(土日祝日など)
④ 申請日 指定登記日の直前の開庁日に申請すること

この中でも最も重要なのは④ 申請日です。指定登記日が土日祝日であっても、申請自体は必ずその直前の「平日の」開庁日に行われている必要があります。

オンライン申請や郵送申請であっても、単に送信・投函すればよいわけではありません。直前の開庁日の「開庁時間内」に法務局側のシステムへ到達し、その日付で受付されていることが求められます。

この要件を満たさない場合、申請書に指定登記日を記載していたとしても、特例は適用されず、通常どおり受付日が設立日となります。

また、すでに過ぎた日をあとから指定登記日とすることはできません。
あくまで、申請時点から見て「これから到来する休日」を設立日として指定する制度です。

つまり、設立日を休日に指定できるかどうかは、「何月何日に申請したか」ではなく、「何月何日に受付されたか」で決まります。

具体的なケーススタディ

たとえば、1月1日を会社の設立日にしたい場合を考えてみましょう。
1月1日が祝日で法務局が開庁していない日であっても、その直前の開庁日(例えば12月27日など)に法務局で設立登記の申請を行い、申請書に「指定登記日:1月1日」と記載することで、会社の設立日を1月1日とすることが可能になります。ほんの数日だけ前倒しで登記申請するということです。何日も前に予約して申請するということではありません。

このように、実際に申請する日は平日であっても、会社の誕生日として扱われる日を休日に設定できるのが今回の制度の特徴です。

「記念日を会社の誕生日にしたい」という想いを、制度として実現できるようになりました。

指定登記日が設立日になりますが、登記の審査・完了処理は開庁日に行われます。

つまり、

・設立日:1月1日
・登記審査開始日:1月4日

といったズレが生じることがあります。

税務上の注意点

会社を設立すると、以下の届出が必要になります。

・法人設立届出書
・青色申告の承認申請書
・給与支払事務所等の開設届出書

これらの提出期限は設立日を基準に計算されます。

設立日を休日に指定しても、期限計算は変わりません。設立日が早まる分、届出期限も前倒しになる点に注意が必要です。

今回の制度は、申請書の記載内容が非常に重要です。記載漏れや申請日のズレがあると、特例は使えません。また、設立日と税務届出・会計設計を同時に考えられるのは、登記と税務を一体で扱える専門家ならではです。

私たちは、会社設立の登記だけでなく、設立日設計、税務届出、会計体制構築までワンストップでサポートしています。「この日を会社の誕生日にしたい」という想いがある方は、ぜひ一度ご相談ください。