Last Updated on 2025年5月2日 by 渋田貴正
ホールディングスとグループの違い
会社経営を進めていくと「ホールディングス」や「グループ経営」という言葉を耳にすることが増えます。この両者の違いについて詳しく説明します。
ホールディングスとは?
ホールディングス(持株会社)とは、他の会社の株式を保有し、その会社の経営を支配することを主たる事業とする会社のことをいいます。たとえば、A社がB社、C社、D社の株式を過半数保有し、これら子会社の経営をコントロールする場合、A社はホールディングス(持株会社)といえます。
また場面によってはそれぞれの会社を一体としてホールティングスと呼ぶこともあります。
【ホールディングスの主な特徴】
- 自社で事業を営まなくてもよい
- 子会社の経営管理や戦略立案に集中
- 節税対策や事業承継対策としても有効
グループとは?
グループは複数の会社が資本関係や人的関係で結びついた集合体を意味します。ホールディングスを中心に形成されることが多いですが、必ずしも持株会社が存在しなくてもグループと呼ばれます。資本関係がなくても取引や人的交流が深い企業の集まりを「〇〇グループ」と呼ぶケースもあります。
例えば、一人の株主が複数の会社を経営している場合、これは「ホールティングス」とは言いませんが、「○○グループ」という呼称を付けている場合があります。
【グループの主な特徴】
- 資本関係・人的関係・取引関係でつながる
- ホールディングスが存在するとは限らない
- 法律上の明確な定義はない(民法・会社法ともに定義規定なし)
ホールディングスとグループの違い
項目 | ホールディングス | グループ |
定義 | 持株会社(会社法2条4号の2) | 複数企業の集合体(法律上の定義なし) |
組織構造 | 子会社を支配 | 柔軟(資本・人的・取引関係など) |
税務メリット | 連結納税・組織再編税制の活用 | 単体納税が原則 |
登記 | 持株会社の登記必要 | 特別な登記義務なし |
節税・事業承継 | 活用しやすい | ケースバイケース |
税務上のポイント
ホールディングス化すると連結納税制度やグループ法人税制を活用できる場合があります。
たとえば赤字の子会社と黒字の親会社の損益通算が可能となり、グループ全体での節税が可能です。
また、株式移転や会社分割を活用して持株会社を設立すれば、事業承継税制や組織再編税制による課税繰延べも可能です。
登記上の注意点
ホールディングス化にあたり定款変更や商号変更が必要になることがあります。特に、社名に「ホールディングス」を含める場合は商号変更登記が必要です。
また、株式移転や会社分割を行う場合は組織再編登記が必須となります。この手続きは非常に煩雑なため、司法書士等の専門家に依頼されることをおすすめします。
- ホールディングスは法律上の定義があり、支配を目的とする持株会社
- グループは企業間の集合体で、必ずしも持株会社を含まない
- ホールディングス化により税務メリットや事業承継対策が可能
- 登記手続きは複雑で専門家の支援が重要
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司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。