Last Updated on 2025年6月2日 by 渋田貴正
海外在住でも日本で不動産を購入できます
近年、海外在住の日本人や外国人の方が、日本国内に不動産を購入されるケースが増えています。投資目的や将来の帰国を見据えた購入、またはご家族のためなど、目的はさまざまです。
ただし、海外に居住しながら日本で不動産を購入する場合、通常の購入に加えて必要となる手続きや注意点があります。
登記名義人になるには日本国内に住所が必要?
不動産を購入すると、所有権移転登記が必要です。この際、登記名義人が海外在住であっても登記は可能です。ただし、住所欄には日本の住所ではなく現地の住所を記載することになります。
登記名義人が海外在住であること自体は問題ありませんが、後述するように国内連絡先の登録が必要となることがあります。また、住民票がないため、登記識別情報通知書などの送付先にも配慮が必要です。
海外在住者に必要な手続き
海外在住者については、それぞれの状況に応じて
手続き名 | 提出先 | 内容 |
国内連絡先の届出 | 法務局 | 登記名義人が日本に住所を有しない場合、登記簿に記録するための届出 |
国税の納税管理人の選任 | 税務署 | 投資用不動産の取得などで、国内で賃料収入などが発生する場合に税務署とのやり取りの窓口になる人を選任するための届出 |
地方税の納税管理人の選任 | 各自治体 | 固定資産税や不動産取得税の納税義務に対応するための届出 |
- 国内連絡先の届出
不動産を取得する際、登記名義人が日本に住所を有しない場合には、国内連絡先の届出が義務付けられています(不動産登記規則第60条の2)。これは、登記簿上に日本国内の連絡先(個人または法人)を記録し、裁判所・行政機関などからの通知が円滑に届くようにするための制度です。
当事務所では、国内連絡先の適任者がいない場合に当事務所をご登録いただくサービスを行っています。
- 納税管理人の届出
海外に住所がある方が日本で不動産を取得すると、固定資産税や不動産取得税などの税金が発生します。また、日本国内に所在する不動産の賃料収入があれば所得税の確定申告も必要となります。このような場合、納税管理人の選任が必要になります。
納税管理人とは、納税義務者に代わって税務署や地方自治体とやり取りし、税金を納める役割を担う者です。納税通知書も納税管理人に送付されますので、実務上とても重要な手続きです。
不動産取得にかかる税金の概要
不動産購入に伴ってかかる主な税金は次の通りです。
税目 | 内容 | 概算税率・金額 |
不動産取得税 | 土地や建物を取得した際に課される地方税 | 評価額の3%(住宅用の場合軽減あり) |
登録免許税 | 所有権移転登記の際に課される国税 | 評価額の2%(住宅用は0.3%の軽減あり) |
固定資産税 | 毎年1月1日時点の所有者に課される地方税 | 評価額×1.4%程度 |
都市計画税 | 一部地域で固定資産税に上乗せされる地方税 | 評価額×0.3%(自治体による) |
海外在住者の不動産登記手続き
海外在住者が日本で不動産を購入する場合、現地で手続きの一部を進めることができます。たとえば、所有権移転登記に必要な委任状や印鑑証明書に相当する書類(例えば在外公館でのサイン証明など)を準備し、日本の司法書士に依頼することで登記を完了できます。
当事務所では、英語での文書作成・サイン証明取得のアドバイスも行っています。
よくあるご質問(FAQ)
- 日本に帰国予定がなくても不動産は持てますか?
はい。永住権や住民票がなくても、日本で不動産を所有することは可能です。 - 納税管理人は家族や友人でもいいですか?
可能ですが、税務対応の負担や通知の見落としリスクを考慮すると、専門家に依頼することをおすすめします。 - 海外の住所で登記すると、何か不都合はありますか?
通知の遅延や、行政手続きのやりとりに支障が出る可能性があります。そのため国内連絡先の届出が推奨されます。
海外在住でも日本の不動産購入はスムーズに行えます。
当事務所では、税理士・司法書士の資格を活かして、不動産購入に必要な登記申請の代理、納税管理人就任、国内連絡先の登録など、海外在住の方が安心して日本の不動産を取得できるよう全面的に支援しております。お気軽にご相談ください。
また、不動産会社の方からのご依頼もお受けしています。お気軽にご相談ください。

司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。