一見すると贈与に該当しなさそうな行為でも、その実態が贈与なら贈与として扱われ、贈与税の課税対象となります。その逆に、本人は贈与だと思っていても、贈与として扱われないといったケースも少なからず存在します。

そもそも贈与とは、「当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と民法に定められています。

そのため、子の受諾の意思表示なく、毎年110万円を親が作った子名義の口座に払い込んでいたとしても、それはいわゆる名義預金です。親としては子のために贈与したと思っていたとしても、子の受諾がない以上はそれは親名義の口座として扱われます。贈与があったということは、受贈者にその財産についての管理・運用・処分の権利が移転するということです。

そのため、この財産は子ではなく親自身の財産として扱われ、贈与税の非課税枠は関係なく、預金額そのものについて親の相続財産となります。

未成年者でも贈与の受諾の意思表示はできる

贈与贈与者から受贈者に一方的にお金やモノなどをあげる行為です。この場合、民法では以下のように規定されています。

民法 第5条

  1. 未成年者法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

贈与は「単に権利を得る」行為といえるので、子が法定代理人の同意を得ずに贈与の受諾をすることができます。もちろん法定代理人(親権者または未成年後見人)の同意を得てから贈与を受けることも問題ありません。

贈与した財産の使い道について口出しすることは問題ない

せっかく子のために贈与したお金を浪費されるのは贈与した意味がない、ということで子に知らせずに毎年子名義の口座にお金を貯めていたというケースもあるでしょう。しかし、親が子のためにお金の使い方を指導するのは、親として当然のことです。贈与したお金だからといって受贈者に自由に使わせなければならないという決まりはありません。

受贈者がより有意義に贈与したお金を活用できるように指導することは全く問題ありません。そのため、今回のようなケースでは、
1)子自身がその預金の存在を認識して、自由に使うことができるようにしておく
2)お金の使い方についてはしっかりと指導しておく
という状態にするのが重要です。

特定の年に一括して口座を使えるようにすると、一括贈与に該当する

ずっと子供に内緒で毎年110万円の非課税枠内で子名義の口座に入金して、とある年(例えば成年者になったタイミング)で子に渡した場合は、渡した年に一括贈与したことになります。例えば毎年50万円ずつ18年間貯めた口座を18歳の時に子が自由に使える状態にしたら、それは900万円の贈与がその年におこなわれたということになります。

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