売買や贈与で取得した土地でも国庫帰属が認められるには?

相続土地の国庫帰属制度は、その名の通り相続によって土地を取得した相続人について認められる制度です。そのため、売買や贈与など相続以外の原因で土地を取得した者については、国庫帰属制度は原則として利用できません。(例外として、相続人に対する遺贈についても国庫帰属制度は適用されます。)

しかし、例外的に売買や贈与で土地を取得した人でも国庫帰属制度を利用できるケースがあります。それは、相続によって土地の持分を取得した相続人と共同して国庫帰属の承認を行うというケースです。

例えば、土地の持分をBがAから購入し、その後Aが死亡してCが相続した場合、売買で土地を取得したBと相続で土地を取得したCが土地を共有することになります。この場合で、もしCがその持分だけを国庫帰属させることはできません。国庫帰属制度は土地が共有となっている場合は、土地の共有者全員が共同で申請しなければならず、持分の一部だけを国庫帰属させることはできない旨が定められているからです。

かといって、売買や贈与などで土地の持分を取得した者には国庫帰属を認めないという原則を貫くと、相続でその土地の持分を取得した相続人も管理負担を負い続けなければならないということになってしまいます。そこで、売買や贈与で土地の持分を取得した者であっても、共有者が相続人であれば共同して国庫帰属の承認申請を認めるということが定められています。

裏を返せば、売買や贈与で土地全部を取得した者や、いずれも売買か贈与で取得している共有者のみの場合には国庫帰属制度の利用は認められないということになります。

ちなみに、もともと売買で父Aと子Bが共有で取得した土地について、Aが死亡後、その相続人であるBが土地を取得した場合は、Bは売買で取得した持分と相続で取得した持分が混在します。このケースでも国庫帰属制度の承認申請は可能です。

売買や贈与で土地を取得した者がどうしても国庫帰属したければ、土地の一部を誰かに贈与して、その受贈者について相続が発生した後に、その相続人と共同で国庫帰属の承認申請をするという方法が考えられます。