土地の寄付は贈与契約

相続土地の国庫帰属制度については、国に土地を寄付する場合とどのように異なるのかということを理解しておくと、国庫帰属制度についても一層理解が深まると思います。

国に土地を寄付したい場合は、土地所有者と国の間に贈与契約が結ばれます。贈与契約は、単に贈与したい人がその意思表示をするだけでなく、受け取る側(受贈者)が受諾の意思を表示することではじめて成立します。

民法 第549条
贈与は、当事者の一方がある財産権を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

受贈者である国からすれば、その土地が寄付を受けるに値しないと思えば贈与を受諾しないということも可能です。

相続土地の国庫帰属は、要件を満たせば当然に権利が国に移転

一方で、相続土地国庫帰属制度については、法定の要件さえ満たせば国は国庫帰属を承認しなければいけません。つまり寄付のように国の受諾の意思表示がなく、当然に国庫に帰属するということになります。

国庫帰属の利用申請をした者は負担金の納付が必要となりますが、負担金を納付した時点で対象となる土地の所有権が国に帰属することになります。

相続土地国庫帰属法 第11条
承認申請者が負担金を納付したときは、その納付の時において、第5条第1項の承認に係る土地の所有権は、国庫に帰属する。