法定相続の登記後に遺産分割協議で持分を変更する登記は可能

いったん法定相続で相続登記を行ったけれど、その後遺産分割協議を行って一部の相続人に不動産の所有権を移転させることがあります。

例えば、先祖代々の土地を、ひとまず相続人全員で共有にしたけれど、管理の面からやはり一部の相続人が所有したほうが都合がよいため、遺産分割協議を行うといったケースが考えられます。多くの相続人で共有にすると、相続を重ねるごとに所有者が増えていき、かえって管理ができなくなります。

こうしたケースでは、遺産分割協議によって所有権を取得する相続人を登記権利者、その他の共同相続人を登記義務者として、共同申請によって所有権の移転登記を申請することになります。共同相続の登記がなければ遺産分割協議書を使って、単独申請によって直接不動産の所有権を取得した相続人に所有権を移転させることができますが、いったん他の相続人も所有権を取得している以上は遺産分割協議があったとしても単独申請というわけにはいかず、共同申請になります。

ちなみに、「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。」と定められているため、所有権の更正登記を行うべきとも思えますが、最初に行われた共同相続の登記に間違いがあったわけでもないため、更正登記によることはできません。(ただし、この取り扱いは不動産登記法の改正により変更となり、今では遺産分割協議による更正登記によることも認められます。)

法定相続後の遺産分割協議による所有権移転の登記手続き

共同申請によるということは、売買や贈与による登記と手続きは同じです。登記原因は、遺産分割協議書の日付を原因日として、「〇年〇月〇日遺産分割」として申請します。
1)遺産分割協議書
2)共同相続による登記を行った際の登記識別情報
3)持分を失う相続人(登記義務者)の印鑑証明書(発行から3か月以内)
4)持分を取得する相続人(登記権利者)の住民票など住所を証明する書類
などが必要となります。

ちなみに、法定相続の登記申請を、一部の相続人だけで単独申請することも可能です。その場合は、その他の相続人については登記識別情報が交付されません。その場合は、司法書士による本人確認や、事前通知による手続きが必要になります。

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