遺贈の放棄

遺言で遺贈を受けた人が、やはり遺贈を受けたくないといった場合には、遺贈を放棄する必要があります。この場合、包括遺贈と特定遺贈で、放棄の方法が大きく異なります。それぞれの遺贈のケースごとに遺贈の放棄の方法を見てみます。

包括遺贈の放棄

包括遺贈を受けた包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します。つまり、包括遺贈の放棄についても、相続放棄と同じ流れを取ることになります。そのため、自己が包括受遺者であることを知ってから3か月の熟慮期間内に、家庭裁判所に対して、遺贈を放棄する申述書を提出しなければなりません。単純に他の相続人に放棄したい旨を伝えたり、何もせずに放置しておくだけでは包括遺贈を放棄することはできないということです。

包括受遺者が遺贈を放棄した場合は、その分は他の相続人に帰属することになります。ただし、包括受遺者が遺贈を放棄した場合は包括受遺者の子に包括遺贈するといった遺言(予備的遺言)があれば、それに従うことになります。

特定遺贈の放棄

特定遺贈の場合は、包括遺贈と異なり、遺贈の放棄について家庭裁判所での放棄手続きは不要です。

 民法 第986条
  1. 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
  2. 遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

上記の条文では「遺贈」と規定されていますが、これは特定遺贈のみについて有効となります。特定遺贈の場合は、遺言執行者(いなければ相続人)に特定遺贈を放棄したい旨を伝えるだけで放棄ができます。放棄の意思表示も口頭でも書面でも可能です。ただし、後日の紛争防止のためにも書面で特定遺贈の放棄を行うとよいでしょう。

この場合、包括遺贈と異なり、熟慮期間も関係ありません。特定遺贈については、一部のみ放棄することも可能です。例えば、A土地とB土地を遺贈する旨の遺言で、A土地だけを放棄するということもできます。

ただし、一旦放棄した特定遺贈を撤回することはできません

ちなみに、特定遺贈を放棄した場合は、放棄した分は相続人全員に帰属することになります。そのため、例えばA,B,Cが相続人の場合で、AとBに2分の1ずつ甲土地を特定遺贈する旨の遺言があったとして、Aが遺贈を放棄しても、B単独所有の登記申請ができるというわけではありません。このケースでは、BとCで改めて遺産分割協議をする必要があります。

受遺者が遺贈を放棄したいというケースでは、遺言の記載次第で大きく対応が異なります。遺贈の放棄についてお悩みの方はぜひ当事務所までご相談ください。

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