遺言執行者とは?

遺言の内容に従って、相続手続きを進めていく役割を持つ人を遺言執行者といいます。遺言執行者は必ず指定しなければならないわけではなく、遺言執行者を指定しなければ、遺言で財産を取得した相続人が各種の相続手続きを進めていくことになります。

遺言執行者を選任する目的としては、信頼できる者を遺言執行者に指定することで遺言の内容が確実に実行されることを期待して選任するほか、第三者への遺贈では、遺言執行者を指定することでその他相続人を関与させることなく、遺贈による所有権の移転登記が可能になるといったことから、遺言執行者の選任が行われることがあります。

遺言執行者になれる人は、相続人の一人でもよいですし、相続人とは全く別の第三者でも問題ありません。また、弁護士法人や司法書士法人などの法人を指定することもできます。ただし、未成年者と破産者は遺言執行者になれません。

遺言執行者が指定されている場合の不動産登記

遺言執行者が指定されている場合の不動産登記の手続きは、相続か遺贈かで大きく分かれます。遺言内で、「○○に相続させる」、「○○が取得する」といった書き方になっていれば、相続として扱われます。この場合は、遺言執行者が指定されていたとしても、不動産を取得した相続人が単独で登記申請できるため、遺言執行者が相続人に代わって登記申請することはできません。

次に、遺言内で「○○に遺贈する」といった書き方になっている場合は、遺贈の登記となります。この場合は、遺言執行者と不動産の遺贈を受けた者(受遺者)が共同で登記申請することになりますので、遺言執行者の協力が必要です。

ただし、不動産登記法の改正により、遺贈を受けたのが相続人であれば、相続登記と同じく相続人が単独で遺贈による登記申請をできるようになります。

遺贈を受けるのが相続人以外の第三者であれば、改正後も遺言執行者と受遺者が共同で登記申請することになります。この場合で、もし遺言執行者が指定されていないとしたら、相続人全員と受遺者が共同で登記申請しなければならなくなります。そしてこの場合、相続人全員の印鑑証明書が必要になってきます。こうなってくると遺言を残して受遺者に遺産を残したのに、財産を受け取れない相続人に協力を仰がなければならなくなるといったことが生じてしまいます。

そのため、遺言執行者として受遺者を指定しておくといったことが行われます。受遺者を遺言執行者に指定することで、遺言執行者である受遺者の印鑑証明書だけで登記申請が可能となり、実質的に受遺者単独での遺贈による登記申請が可能になります。

登記原因が「相続」 遺言執行者は登記申請できない。(不動産を相続した相続人が単独で登記申請する。
登記原因が「遺贈」 遺言執行者が登記申請する
遺言書の中で遺言執行者が指定されていない場合

もし、遺言執行者が指定されていない場合や遺言執行者が辞任や死亡などした場合には、家庭裁判所に遺言執行者の選任の申し立てができます。特に、遺言を受けたのが相続人以外の第三者であれば遺言執行者の存在は必須といってもよいので、遺言執行者が不存在であれば、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てるケースも発生します。

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