戸籍を訂正するには?

今では戸籍は電子化されていますが、昔の戸籍は手書きでした。そのため、戸籍を別の自治体に移す際に、字の読みにくさや転記の誤りなどで、戸籍が正しく書き写されないということがまれに存在します。例えば、両親の氏名が違ったり、生年月日が違ったりというケースがあります。

このような場合には、まずは市区町村の住民課にその旨を伝えてみます。戸籍の誤りが、明らかに市区町村の間違いであれば、法務局の許可を得て戸籍の訂正ができます。

しかし、中には明らかに誤りであっても、市区町村では戸籍の訂正ができないことがあります。その場合は。家庭裁判所に戸籍訂正の申し立てをすることになります。

戸籍法には、「戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には、利害関係人は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正を申請することができる。」という定めがあります。つまり、利害関係人(例えば戸籍を訂正しないと相続手続きが進められない相続人など)が家庭裁判所に申し立てることで戸籍の訂正を行うことになります。

家庭裁判所での戸籍の訂正は、早くても1か月程度かかります。まずは市区町村に問い合わせてみて、家庭裁判所での戸籍の訂正申し立てが必要ということになった場合は、速やかに家庭裁判所に申し立てを行うようにしましょう。

戸籍訂正の申し立てには、誤っていた内容が記載されている戸籍(複数あれば全て)や、利害関係者であることを証明する書類(相続人であることが分かる戸籍など)の提出が必要です。管轄の家庭裁判所は、その戸籍が存在している市区町村を管轄している家庭裁判所です。被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所ではないので、間違えないようにしましょう。

戸籍の訂正が完了しないと、戸籍のつながりが証明できないため、金融機関の口座解約手続きや、法務局での登記手続きが進められないことにもなりかねません。申し立てる側としては、戸籍の誤りは自分の生というわけではないため納得いかない部分もあるかもしれませんが、各種の手続きを進めるうえではやむを得ないです。

市区町村に問い合わせて職権では訂正できないと言われたために家庭裁判所に戸籍訂正の申し立てをしたあとに、家庭裁判所の判断で、市区町村の職権で訂正が可能であると判断されることがあります。この場合は、家庭裁判所から市区町村に通知をしてくれて、家庭裁判所の許可なく市区町村の職権で戸籍を訂正してもらえることもあります。

高齢者職権消除の制度

例えば、120歳を超えるような高齢者が戸籍上生きていることになっている不在者であることがまれにあります。年齢からすれば、死亡していることが明らかであるといった場合には、市区町村の職権で、「高齢者につき死亡と認定」ということで戸籍から除籍できる制度があります。

それでは、高齢者で死亡が明らかな不在者については、失踪宣告の申し立て不在者財産管理人の制度を利用せずに戸籍上死亡したことにして、相続手続きを進められるのかといえばそうではありません。高齢者職権消除は戸籍に記載するだけで、法律上死亡したものとみなすことができるのは、家庭裁判所による失踪宣告の審判だけです。お墓があるなど親族間では明らかに死亡しているということが分かっている人が戸籍上残っていたとしても、やはり家庭裁判所での失踪宣告が必要ということになります。