こんにちは! 税理士・司法書士・社労士・行政書士の渋田 貴正です。

 

2023101日に始まるインボイス制度。この制度は、会社設立の登記時期にも影響を及ぼすという話をちらほらと耳にします。

 

別の記事でも書きましたが、インボイス制度は、間接的に、免税事業者に対して課税事業者の選択をさせる可能性があります。

 

免税事業者になるには、2期前の売上が1,000万円以下であることが必要です。もし会社設立しても、インボイス制度の下で、すぐに課税事業者の選択をしなければならないとなると、会社を設立してから2期分の消費税の免税期間の恩恵が受けられなくなるということです。

 

もし、毎年売上が1,000万円に届かないような小規模な会社であれば、インボイス制度が始まる前であれば納めなくてもよかった消費税を毎年納めなくてはならないとなると、何だか損をしたような気持ちにもなります。

 

売上が1,000万円を超える会社であっても、インボイス制度が始まる2年前であれば、2年間の免税事業者の恩恵をフルに受けられるということです。だから、会社設立を20219月までにやればよいのではという理屈です。

 

確かに、そのあたりの時期に会社を設立するのであれば、多少会社設立日を調整することで、消費税の課税事業者になる時期にも影響がありそうです。

 

ただ、そもそもの前提として、インボイス制度が始まったら、みんな「課税事業者になろう圧力」がかかってくるのでしょうか?なぜ課税事業者になるように仕向けられるのかといえば、売り先が消費税を引けなくなる(課税仕入れでなくなる)からです。それであれば、売り先が消費税の納税義務者でない、つまり課税仕入れかどうかなんて関係ないといった業態であれば、この圧力はかからないということになります。つまりは、自分が発行したレシートなどが相手にとって経費として処理されないような業態です。

 

例えば、自作のアクセサリーなどの小物を販売する会社。アクセサリーを購入した人は基本最終消費者である一般人です。経費で落とすというという考えはないでしょう。であれば、インボイス制度が始まったからといって、さほど影響はないでしょう。

 

一方、BtoBビジネスであれば、「課税事業者になろう圧力」がかかってくるかもしれません。例えば、ライターとして大手に原稿を納品しているようなケースでは、もしかしたらあるかもしれないですし、ないかもしれません。

 

ここまで会社設立をきっかけに会社の話を中心にして書いてきましたが、個人事業主でも同じことです。相手が個人事業主、フリーランスでも、「課税事業者になろう圧力」は働きます。どんな制度でも変更といえば不安になるものです。もし、こうしたことが不安であれば、まずは自分のお客様が誰か、自分が領収書や請求書を発行すれば、それは相手の経費になるのかといったことを見直してみましょう。